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高野孟のTHE JOURNAL Vol.451 2020.6.22
※毎週月曜日発行
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《目次》
【1】《INSIDER No.1052》
イージス・アショアを止めたのは結構なことだけ
れどもーーそれでかえって深まる日本の戦略論的
大混乱
【2】《CONFAB No.451》
閑中忙話(6月14日~20日)
【3】《FLASH No.358》
都知事選に山本太郎が立候補を表明した理由と野
党の困惑ーー日刊ゲンダイ6月18日付「永田町を
読む」から転載
【4】《SHASINKAN No.399》付属写真館
■■INSIDER No.1052 2020/06/22 ■■■■■■■■■
イージス・アショアを止めたのは結構なことだけれども
ーーそれでかえって深まる日本の戦略論的大混乱
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河野太郎防衛相による「イージス・アショア」配備計
画停止の発表は、タイミングとしては余りに唐突で、外
務省さえ寝耳に水で驚いたほどだったし、理由としては
余りに単純で、迎撃ミサイル発射時に切り離されるブー
スターが辺りに飛び散ることがないかのように米側が嘘
の技術的説明をしていたことが露見、その改善には数千
億円の追加費用と10年超の期間が必要となることが判明
したためである。
日米首脳の盟約により、何千億円もの巨費を投じて一
部はすでに予算執行が始まっている最新兵器導入計画
が、こんな些末な理由1つでいきなり停止されてしまう
というのは、ある意味、河野はまことに結構な前例を作
ってくれたわけで、沖縄県の玉城デニー知事が16日「コ
ストと期間を考えたら、辺野古の方がより無駄な工事で
はないか」と、この方式の辺野古新基地建設への応用を
求めたのは、当然のことだった。
しかし、裏返せば、トランプ米大統領のご機嫌取りし
か考えない安倍晋三首相が、日本に本当に「ミサイル防
衛」システムが必要か、必要だとすればどこの国のどん
なミサイル攻撃を想定してどれほどの迎撃能力を築こう
とするのかという戦略論的思考を欠落させたまま、トッ
プダウンで防衛省にこの買い物を押し付けたことが、こ
のドタバタのそもそもの始まりである。安易極まりない
導入計画だったからこそこんなことで簡単にコケたとも
言えるのである。
●そもそもイージス自体が時代遅れ
イージス・アショアの話は嘘で固められてきた。まず
第1に、ロクに当たらない。北朝鮮なり中国なりロシア
なりが日本に向けて発射したミサイルを空中で撃ち落と
すというのは、ある専門家によれば「荒野の決闘で、相
手が撃った弾丸にちょうど真ん中でこちらの弾丸を当て
て相討ちにしようというアイデアで、まあ理論的な可能
性と思ったほうがいい」という代物である。
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