今週のざっくばらん
Apple WWDC
先週、Apple が WWDC(World Wide Developer Conference)を開催し、基調講演にて数多くの発表をしました。これに関しては記事も多く書かれているので、あえて列挙はしませんが、強く印象として残ったものについてコメントしてみます。
何よりも大きなニュースは、Macのチップをインテル製のものから、自社製のチップへのシフトです。
このシフトに関しては、随分と前から予想もされていたし、iOS/iPad 向けのチップへの力の入れようを見れば、当然と言えば当然です。
最新のiPad Pro ($799〜)に搭載されたA12Z Bionicは、2.49GHz で動作する8個 64-bit ARM コアと、同じく8個のGPUを持つチップです。これは、すでに、MacBook Pro ($1299〜)などに採用されている Intel Core i5 とほぼ同様の性能を持ち、消費電力あたりの性能を考えれば、圧倒的に優秀です。
Apple は、これまで iPhone/iPad 向けのチップの開発に莫大な投資をして来ましたが、「いつかは Mac のチップも置き換える」ことは常に視野に置いていたのだろうと思います。毎年数千万台ものiPhoneを作っている Apple だからこそ出来る、芸当です。
私が Apple 内部の情報に詳しい知り合いによると、Apple 内部では Xcode (開発ツール)を iPad 上で動かす実験はかなり前からしていたようで、「iPad で MacBook を置き換える」戦略と、「MacBook を(チップを置き換えることにより)iPad に近づける」戦略の両方が平行して行われていたと私は解釈しています。
しかし、iPad を開発者向けのデバイスにするには、セキュリティ上の数多くの障壁を乗り越える必要があり、現実的ではなく、それが今回の発表に繋がったのだと思います。
つまり、今回の発表が意味するところは、iPadがMacBookを置き換えることはないMacBook が新たな方向に進化する
の2点に集約されると思います。
MacBook(+MacOS) の進化の方向に関しては、基調講演の中にもありましたが、iPad/iPhone 向けのアプリがそのまま走るようになるLinux のバーチャルマシン環境が開発者向けに提供される
の2点が目玉です。
Apple は MacOS 向けのアプリストアも開設していますが、iPhone/iPad 向けのアプリ市場と比べると盛り上がりに欠けています。iPhone/iPad 向けのアプリがそのまま MacOS 上で動くとなると、iPhone と MacBook の両方で同じアプリをシームレスに走らせてアカウント・データを共有するなどが簡単に出来るようになるため、消費者にとっては素晴らしいことです。
開発者にとっても、わざわざ MacOS 向けにアプリを作る必要もなくなるため、この「新たな使い方」に向けたアプリの開発が進むと思います。
二番目のLinux のバーチャルマシン環境は、開発者にとっては朗報です。私のようにウェブ・アプリケーションを開発している人間にとって、Linux (もしくは、それとコンパチブルな)環境は必須で、これまでは MacOS が提供する Terminal を使って行って来ました。
しかし、この行動はセキュリティ上は大きな問題があります。開発の過程で、様々なモジュールを npm などを使ってインストールしますが、それらのモジュールはシステムリソースにアクセスが可能なため、セキュリティリスクがあるのです。
この件は、私も少し前まで認識していませんでしたが、去年の Google I/O で、Google のセキュリティ担当の開発者が、「私は開発マシン上のブラウザーでは銀行口座にはアクセスしない」と話しているのを聞いて、初めてそのリスクに気が付いたのです。
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