世界貿易にもコロナ・ショック
「まるで華厳の滝」
世界貿易にも、まさにコロナ・ショックが起きました。コロナ・パンデミックが生じた今年3月にすでに危機の予兆は見られましたが、4月になって、かつてない貿易の急縮小が起きました。2008年秋のリーマン危機時にも急縮小が見られましたが、今回はその2倍以上の大幅な縮小で、貿易量を図示すると、まるで日光の「華厳の滝」のような急落の形になりました。
オランダ経済分析局の世界貿易統計によると、物価変動の影響を除いた実質世界輸入量は、3月に前月比1.5%減少して危機の「予兆」を見せていましたが、4月には前月比10.7%減と、かつてない大幅減少となりました。リーマン危機当時の減少のピークでも前月比5%程度の減少でしたから、その2倍以上の下げ幅となります。まさにコロナ・ショックというべき急落です。
IMF(国際通貨基金)は先週、2020年の世界成長率予想を前回4月のマイナス3.0%予想からマイナス4.9%成長予想に一段と引き下げましたが、これは4月以降、コロナ・パンデミックの中で、世界経済の落ち込みが予想以上のものとの認識によるものでした。その象徴として、今年の世界貿易をマイナス11%強と、大幅に引き下げました。世界貿易の急縮小が世界の成長を阻害する、と想定しました。
これはIMFとしては相当思い切った貿易の縮小予想と言われたのですが、現実はその上を行っています。4月は単月で前月比10.7%の減少となりましたが、前年比ではすでに15.6%のマイナスとなっています。つまり、足元の落ち込みは、IMFの修正が追い付かないほどの急落で、5月以降貿易の持ち直しが見られないと、IMFの予想よりさらに貿易は縮小する懸念があります。
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