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第120回 グレートリセットとブロックチェーン その2
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▼今回の記事
今回は、グレートリセットとブロックチェーンのその2として、「ダボス会議」が注目するブロックチェーンのサプライチェーンにおける適用の実例で代表的はものを紹介する。
●「ダボス会議」が提案するブロックチェーンの導入
こうした状況で、今年の秋にも始まる可能性のある第2波のパンデミックによる医療物資や医療機器の不足に対応するためには、ブロックチェーンを導入したサプライチェーンの再構築を早急に進めなければならないと、「ダボス会議」の「ザ・グレート・リセット」のサイトは提案する。それは、以下の4つの大きなメリットがあるとしている。
1)信頼性の確認
医療物資や医療機器の不足状態に比較的に対応可能な企業は中小の業者であることが多い、対応する企業が医療とは異なる業種の場合、新たな生産ラインの設置が必要になるケースが多い。大規模な生産ラインを導入している大手企業では、生産ラインは特定の製品の製造にすでに特化しており、それとは異なる製品の生産ラインの導入には消極的である。反対に中小企業は、生き残るために様々な製品をすでに生産している企業が多いので、そうした企業は必要とあれば医療用物資や機器の生産を早期に始めることも不可能ではない。
ただ、そのような中小企業で問題になるのは、資金の調達である。医療のような新しい分野の設備投資資金を調達するためには、銀行による厳しい信用調査が必要になる。これには相当に時間がかかるので、急増する医療物資や機器の製造にすぐに対応できるわけではない。
そうした状況で大きな力を発揮するのが、ブロックチェーンである。もし企業のすべての取引記録や会計記録、そして財務状況などがブロックチェーンに記録できていれば、銀行はその企業の信用調査をすぐに行うことができる。その結果、医療用物資や機器製造の設備投資のための融資も短時間で提供できる。新型コロナウイルスのパンデミックの第2波が差し迫っている状況なので、こうしたブロックチェーンの導入は早急に進めなければならない。
2)医療用物資や機器の在庫状況の確認
第1波でもそうだったが、多くの国では各医療機関の医療物資や機器の状況を確認し、その円滑な供給の責任を担ったのは、政府の医療担当機関であった。しかしながら、医療物資や機器の不足状況から見て、それがうまく機能したとは到底言い難い。
既存のシステムでは、医療物資や機器の過不足の状況を把握するためには、政府の機関は各地の病院に直接問い合わせなけれなならないし、医療物資や機器の在庫と供給体制を確認するために、各地のメーカに直接問い合わせていた。こうした作業には相当に時間がかかり、その分、必要な物資や機器の供給体制を構築することが遅れた。それが供給の不足を招く結果になった。
このような状況で、すべての医療機関が医療物資や機器を記録し、また製造メーカーの在庫状況や生産余力を記録できるブロックチェーンが存在していれば、政府はこのブロックチェーンの記録を参照することで、瞬時に全体の状況を把握することができる。そして、必要な物資や機器の生産と供給の調整を行うことができる。このようなシステムはすぐに導入されなければならない。
3)業者間の信頼性の保証
医療物資や機器の需要が供給に追いつかないとき、新規の企業がこの分野に参入して生産を増大させることはどうしても必要になる。そうしたときの資金調達に、銀行がその企業の財務状態や取引記録を参照できれば、早急な融資が可能であった。
これとほぼ同じことは、業者間の関係にも当てはまる。新規の業者が既存の医療用物資や機器のサプライチェーンに参加するとき、業者間の取引が成立するためには、業者の信用調査が必要となる。もちろんこれには時間がかかるので、その分、供給が大幅に遅れる。このような状況で、ブロックチェーンに記録されたその業者の過去の取引記録が参照できれば、信用調査の時間は大きく短縮される。この結果、新企業者による一層早い供給の増大が実現できる。
4)発注の自動化
政府の医療担当機関がブロックチェーンの記録を参照して、各地の病院における医療物資や機器の供給状況や、生産者の在庫状況、ならびに生産余力を確認できたとしても、発注のプロセスが契約を交換する既存のプロセスに依存しているのであれば、医療物資や機器の需要の増大には早急には対応できない。発注のプロセスが大きなネックになる。
であるなら、各地の病院における医療物資や機器の在庫が一定水準以下になったとき、政府が製造メーカーに自動発注できるシステムを構築すれば素早い対応が可能になるはずだ。イーサリアムのブロックチェーンには、プログラムを自動的に実行することができる「スマート・コントラクト」が内蔵されている。それを導入して自動発注のシステムを構築すべきだ。
「ダボス会議」の「ザ・グレート・リセット」のサイトにアップさてている記事には、このようにブロックチェーンのサプライチェーンを早急に導入すべきだと提案するものが多い。すでにパンデミックの第2波は迫っており、それは第1波よりも一層深刻になる可能性が高いとしている。それに備えるためには、ブロックチェーンの医療物資や機器のサプライチェーンへの導入は、一刻を争うとしている。その危機感は想像以上に大きいのだ。
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