■リーダーは「心を揺さぶる」ストーリーを語る
次世代のリーダーにはストーリーが必要だ。ストーリーで語ること
は、今やマーケティング戦略に必要不可欠だ。にもかかわらず、ス
トーリーを語れるリーダーが日本には少な過ぎるのが現状だ。
リーダー自らが、ストーリーをマーケティング戦略と位置づけて語
っていくべきだ。そうしないと、世界規準からどんどん遅れていっ
てしまう。
ストーリーと言われても、多くの人は漠然としたイメージしか持て
ないはずだ。物語ると言っても、小説や脚本を書くわけではない。
あくまでもビジネスにつながる、現実のストーリーを語るのだ。
荒唐無稽でドラマティックなフィクションを語る必要はない。体験
に裏打ちされた、心奥深くにある、自分だけのストーリーを語るの
だ。これが、聞いた人を動かすのだ。
★
体験は、1人の中で留まれば個人の体験だが、ストーリーになれば、
多くの人にとって大切な発見や知恵となる。ところが、ビジネスパ
ーソンは、自分の体験をシェアする機会が少ない。
そんなことは個人的で、語るに足りないと考えている。だが、そこ
にこそストーリーの鉱脈がある。天才的起業家やビジネス界のレジ
ェンドでなくても、すべてのビジネスパーソンが持っているのだ。
ストーリーを作ることは、自分の内側を掘り下げていく作業だ。自
分の経験や苦労、気づきなどパーソナルな体験が人を動かす。自分
らしいストーリーを、自分らしい言葉で語れる人になるべきだ。
★
ストーリーは相手の心を開く。人は誰しも、情報でなくストーリー
に惹きつけられるものだ。また、壮大なストーリーより、日常の話
を素晴らしく語るほうが聞き手の脳裏には焼き付くものだ。
ストーリー語ることは、企業戦略の常識だ。なぜなら、ストーリー
は物語であるために、伝播力、すなわち広く伝わっていく力がある
からだ。
リーダーが企業コンセプトをストーリーに乗せて語れれば、社員は
コンセプトをしっかり把握して、それを伝播することができる。ま
た、聴いた受け手も他者にそのコンセプトを伝えやすい。
リーダー1人が必死に自社の宣伝をするより、聴いた人が次々伝播
してくれたほうが、強いブランディングになるはずだ。そのために
は、メッセージを面白いストーリーで伝えるべきなのだ。
さらに、ストーリーなら、単なる製品の宣伝に留まらず、会社のイ
メージアップにもつながるはずだ。聞き手が会社のファンになるか
らだ。それこそ究極のマーケティングなのだ。
★
これからのリーダーは「ファシリテーター型」のリーダーシップを
発揮すべきだ。「あれやれ」「これやれ」指示するだけでなく、部
下が考える余地を残し、コミュニケーションを対話型にするのだ。
部下からアイデアを引き出すように働きかけ、個人を尊重しながら
共通の目的に向かって協働させるリーダーシップだ。必要なのは、
聞く力とストーリーを話せるコミュニケーション能力だ。
ストーリーを語るのことの重要さは、相手を動かすのみに留まらな
い。自分にとっても非常に有益だ。なぜなら、ストーリーを考える
ことで「内省」という重要なことを行うからだ。
内省とは「自分と向き合い、自分の考えや言動を振り返り、気づき
を得ることで今後につなげる、ポジティブな視点のフィードフォワ
ード」だ。
自分の決定や行動、知識を省みる能力がある人だから、会社や組織
を、成功へ導くことができるのだ。内省ができるリーダーは強い。
だから、世界のトップリーダーはみんな内省しているものだ。
内省から生まれたストーリーは「憧れのリーダーのマネ」でない。
自分らしさを確立したリーダーは、周りの人を惹きつけてやまない
はずだ。
この記事は約
NaN 分で読めます(
NaN 文字 / 画像
NaN
枚)