第２２４回「バーチャルじゃないと安心できない」

ちょっと昔、彼女と一緒に水族館に遊びに行った時のこと。 コツメカワウソとかいう奴が愛嬌を振りまいていて、 そのコツメカワウソに餌を手渡しであげられる、 という水族館の目玉イベントがあったので、「あげようか？」 と彼女に訊くと、「いや、いい」と拒否、ついでにいうと、 「あたし、ちょっと、こういうところ、駄目かも」とか 言い出したのでした。 彼女いわく、水族館とか動物園とか、生き物がいるところは、 生き物が、どういう行動をするのかわからないため、 恐怖心を感じてしまって、楽しめないのだとか。 それ以来、彼女とのデートは、水族館とか動物園はなしに、 ということになりました。 でも、今、こういう彼女みたいな人って増えているんじゃないかな？ 相手がどう出るか、予測ができなければできないほど、 不安になって、ちゃんと向き合えない。 これ、対動物だけじゃなくて、対人間にも言えること。 特に、これ、異性相手だと、なおさらひどくなってしまったりして。 まあ、その心理の裏には、「自分が、相手からどう思われるか、 怖い」という意識が隠されており、これは、つまり、 「相手からよく思われたい」という気持ちの裏返しなんですね。 そういう気持ちが強い人ほど、こういう気持ちになってしまう。 それで、どんな行動をしようとも、相手が評価してこない、 つまり、電脳とか、個人が特定されにくいネットの世界に 逃避してしまおうとするんですよね。 たまに電車とかに乗っていて、外部の世界と遮断しようとして、 スマホとかに齧りついている人たちとかをみると、 本当に、世の中、そうなっているんだなあ、 とつくづく思わされます。 そういう時代に、僕たちは、リアルな恋愛ができて、 リアルな幸せをつかめるのかな、とか思うのですが、