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高野孟のTHE JOURNAL Vol.456 2020.7.27
※毎週月曜日発行
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《目次》
【1】《INSIDER No.1057》
コロナ禍を機に起こるべき価値観の転換《その
3》ーー自然免疫力を高める食事こそが「新しい
生活様式」
【2】《CONFAB No.456》
閑中忙話(7月19日~25日)
【3】《FLASH No.365》
間抜けの象徴「アベノマスク問題」今なおだらし
なく進行中ーー日刊ゲンダイ7月23日付「永田町
を読む」から転載
【4】《FLASH No.366》
時代遅れの「敵基地先制攻撃論」ーー9条連ニュ
ース7月20日号「高野孟の政治展望台から転載
【5】《SHASINKAN No.402》付属写真館
■■INSIDER No.1057 2020/07/27 ■■■■■■■■■
コロナ禍を機に起こるべき価値観の転換《その3》
ーー自然免疫力を高める食事こそが「新しい生活様式」
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この連載は、第1回の冒頭で述べたように、平野貞夫
=元参議院議員の「コロナ禍による混乱を克服するに
は、稲作・漁撈・発酵文化の再生が急務だ」という趣旨
の講話に大いに触発され、それを私なりに補充・拡張し
つつ綴っている。平野の論旨のユニークなところは、稲
作を中心とした日本の伝統的な食生活への回帰を、単な
る懐古趣味やロマンティックな田舎暮らしへの憧れから
ではなく、玄米・米ヌカをはじめ無農薬の野菜、海藻類
などに豊富に含まれている免疫ビタミン「LPS (リポポ
リサッカライド)」がヒトの免疫力を高めるのに極めて
重要な役割を果たしているという最新の科学的発見に着
目、それが山中伸弥教授の言う「ファクターX 」の解明
にも繋がるのではないかという観点から、これを提起し
ているところにある。
●LPSが免疫力を高める
LPS と言われても、私はもちろん、ほとんどの人にも
初耳だと思うが、驚くべきことに、アベノミクスの「第
3の矢」のために2014年に立ち上げられた内閣府の「戦
略的イノベーション創造プログラム」の下に「次世代農
林水産業創造事業」があり、その1つとして「ホメオス
タシス(健康維持機能)評価システムの開発」とそれを
通じての「機能性食品の開発、食事レシピや運動メニュ
ーの開発」というプロジェクトが取り上げられ、杣(そ
ま)源一郎=香川大学客員教授(免疫学)を代表として
14年から18年まで、国費による研究が進められていた。
ヒトの体に張り巡らされている自然免疫機能の中で中
心的な役割を果たしている白血球の一種に「マクロファ
ージ」がある。マクロは「大」、ファージは「食う」、
つまり「大食い細胞」で、そう呼ばれるほど、体の外か
ら侵入した細菌やウイルスや体の内で発生する変異物を
バクバクと食べてしまう。このマクロファージを活性化
させて免疫力を高めるには、LPS を適切に摂取すること
が必要であることを解明したのが、杣教授らの長年の研
究による世界的な成果で、それを応用して実際に経済効
果に繋がるような食品などを開発しようというのが内閣
府のプロジェクトだった。
尤も、この研究成果を安倍政権は「何故か積極的に活
用しようとせず、事実上、棚上げとなっている」(平
野)。恐らくその理由は、安倍もその取り巻きもこの文
明論的な意義を理解できなかったからで、もし少しでも
理解していれば今次コロナ禍への対応も違っていたかも
しれない。
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