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第122回 ヘルス・パスポートとブロックチェーン その2

ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン
…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━… 第122回 ヘルス・パスポートとブロックチェーン その2 …━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━… ▼今回の記事 今回は、「ヘルス・パスポート」や「免疫・パスポート」で注目されているプロジェクトを一挙に紹介する。ただ、この分野は非常に新しいので、これを専門に手掛けるプロジェクトはまだ少ない。そこで今回は、医療分野におけるブロックチェーンのプロジェクトで、将来「ヘルス・パスポート」に転用可能なものも紹介する。紹介するプロジェクトには、1年半ほど前に紹介したことのある「医療分野のプロジェクト」で紹介したプロジェクトも一部入っている。 ▼進化する新型コロナウイルス しかし、「ヘルス・パスポート」や「免疫・パスポート」が経済活動再開の切り札として注目されているなか、こうしたシステムを疑問視するような研究も出て来ている。それは、新型コロナウイルスの進化に関するものだ。 細胞学の著名な科学専門誌「セル(Cell)」に、「ロスアラモス国立研究所」や「デューク大学」などが行った研究結果が掲載された。それによると、イギリスにおける新型コロナウイルスに感染した重症の患者、999人を調査したところ、ウイルスの重要な変異が確認されたという。 現在、世界でもっとも一般的に見られる新型コロナウイルスの株は「D614G」という型だが、その表面のタンパク質に変異が生じているのを発見した。この変異型の新型コロナウイルスの感染力を実験室で確認したところ、中国、武漢で発生したオリジナルの株、「D614D」よりも約3倍から6倍の感染力を持つことが明らかになった。ただ、毒性の強化は確認できなかった。 この結果は、現在アメリカの新型コロナウイルス対策の中心になっているアンソニー・ファウチ博士は、この変異型のウイルスは一層増殖しやすくなっているとして最大限の注意を喚起している。 そして、重慶医科大学の研究者によると、初期型の「D614D」に感染した回復者でも、進化型の「D614G」に再度感染するという。これは、たとえ抗体があっても、あらゆるタイプの新型コロナウイルスに有効なわけではなく、効力は限定的であることを示している。 さらに、「ロックフェラー大学」や「ハワード・ヒューズ医療研究所」などの研究者の研究では、新型コロナウイルスの表面にあるスパイクタンパク質が変異して、抗体を回避できるような特質を獲得したものが発見されたという。これは、抗体の効力があまり期待できないことを示している。 こうした最近の研究結果から見ると、新型コロナウイルスの抗体はまり期待できず、したがって感染を予防できる免疫が将来できるのかどうかも分からない状況だ。これは新型コロナウイルスの抗体の持続期間がかなり短く、抗体を作り出すワクチンの有効性を疑問視する研究結果とも重なっている。 ●注目を集める2つのプロジェクト 一方、そうした状況にもかかわらず、「ヘルス・パスポート」や「免疫・パスポート」を開発するプロジェクトは急速に進行している。特に、とりあえずPCR検査などの結果から感染していないことを示す「ヘルス・パスポート」は新型コロナウイルスの免疫が期待できなくても一定の有効性があると見られいる。「ヘルス・パスポート」には、PCR検査の結果のみならず、一定期間の体温や健康情報を記録し、感染の危険性がないことを証明することができる。 なかでも、いま次の2つのプロジェクトが大きな注目を集めている。 1)「X.ラブス」(X.Labs) 新しいコンセプトのデジタルデバイスの開発では先端的な「X.ラブス(X.Labs)」社は、いくつかの企業と提携し、先端的な「ヘルス・パスポート」のシステムを開発した。このシステムは、同梱されている自宅用PCR検査キットと高機能体温計の2つを使う。 まず自宅でユーザー自らがPCR検査をしてその結果を研究所に送り、テスト結果を受け取る。そして体温計で計った体温をPCR検査の結果と一緒にスマホに入力する。すると、「X.ラブス」を開発したスマホのアプリは、安全証明用のQRコードを生成する。 このQRコードは「X.ラブス」の「READY」というシステムを導入した建物やイベント会場、また職場などでの読取機にかざすと、安全性が確認され、建物や職場、またイベント会場への入場が許可されるという仕組みだ。 これは免疫の有無を記録するものではないので、新型コロナウイルスの抗体の持続性の短さは問題にならない。自宅で計ったPCRの検査結果と体温の記録から、QRコード形式の証明書を発行するというシンプルなアイデアが注目されている。 公式サイト: https://www.xlabs.tech/ 紹介ビデオ: https://vimeo.com/430905351

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  • ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン
  • 昨年から今年にかけて仮想通貨の高騰に私たちは熱狂しました。しかしいま、各国の規制の強化が背景となり、仮想通貨の相場は下落しています。仮想通貨の将来性に否定的な意見が多くなっています。しかしいま、ブロックチェーンのテクノロジーを基礎にした第四次産業革命が起こりつつあります。こうした支店から仮想通貨を見ると、これから有望なコインが見えてきます。毎月、ブロックチェーンが適用される分野を毎回紹介します。
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