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高野孟のTHE JOURNAL Vol.458 2020.8.10
※毎週月曜日発行
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《目次》
【1】《INSIDER No.1059》
「食料自給率」の主語は国、都道府県、地域、それ
とも個人?ーーそれが「38%」だということの本当
の意味
【2】《CONFAB No.458》
閑中忙話(8月2日~8日)
【3】《FLASH No.368》
民主党政権にも及ばなかった「戦後最長の景気拡
大」の嘘ーー日刊ゲンダイ8月6日付「永田町を
読む」から転載
【4】《SHASINKAN No.404》付属写真館
■■INSIDER No.1059 2020/08/10 ■■■■■■■■■
「食料自給率」の主語は国、都道府県、地域、それとも
個人?
ーーそれが「38%」だということの本当の意味
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コロナ禍を通じて、全世界のマスクの8割までが中国
産であるというグローバル化の裏側の現実を初めて知っ
た我々は、マスクくらいならまだ「アベノミクスのお粗
末」という出来の悪いオチを見て苦笑いして済ませられ
るけれども、こういう事態がもう一歩、二歩と進んで本
当に「いざ」という場合が来た時に、食料とか石油と
か、生活の根幹をなす物資の確保は本当に大丈夫なの
か? と考え込んでしまう。
折しも農水省は8月5日、2019年度の日本の「食料自
給率」は過去最低だった前年度より1ポイント上がって
38%となったと発表した。1ポイントでも上がったのは
結構なことではあるが、それでも食生活の6割以上、3
分の2近くを輸入に頼っているという深刻さには何ら変
わりはない。食という生命維持の根幹にこのような脆弱
さを抱えていて、どうして安心して暮らしていくことが
えきるのかと、誰もが心配になって当たり前である。
ところがこの問題はそう単純ではない。
第1に「自給率」という概念自体が極めてあいまい、
かつ多義的なので、そこを整理しないで論じるわけには
いかない。
第2に、いずれにせよそこで言われているのは国全体
としての自給率の問題で、都道府県別の自給率はまた全
然別の心配事を惹起する。
第3に、そこで本当の自給率ということを追い求めて
行くと、結局は地産地消、自給自足に行き着くのではな
いか。
●食料の「自給率」と「国産率」は違う
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