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ビジ選☆リーダーズ Vol.865『成功体験は9割捨てる』(志水浩)

ビジネス選書&サマリーリーダーズ
■成功体験のダークサイド ビジネスの世界で成果をあげるためにも、人生を有意義に過ごすた めにも成功体験は不可欠な要素だ。「自分は実行し、努力すれば、 多くのことができる・よくなる」と思うことを自己効力感という。 これが高い人は困難が生じても自分を信じる気持ちが強い。努力を 続けて困難を乗り越えていくことができる。その結果、成果が出て、 よりレベルの高い課題に取り組むエネルギーを得ることができる。 逆に自己効力感が低いと、小さな壁にぶつかっただけで「やっぱり 自分はダメだ」という心理に陥り、諦めてしまう。そして「できな い自分」を責めて自信をなくす。そんな悪循環にはまり込んでいく。 ハイパフォーマーとローパフォーマーの違いは、スキルや知見の問 題より、自己効力感の有無やレベルの相異だ。これを育むのが「成 功体験」だ。その蓄積が成果を上げる源なのだ。 ★ しかし、光が差せば影が生まれるものだ。光は強いほど、影が濃く なる。世の中の多くの事柄は、プラスの要素の中にリスクが内在す るのだ。いわば「光と影の法則」だ。成功体験も例外ではない。 たとえば、成功体験が新しい発想や知恵を生み出すことを妨げるこ とがよくある。そうなると、冷静な判断力を失い、状況変化に対応 できなくなる。その結果、転落の途を突き進んでいく。 「成功のダークサイド」すなわち負の側面に陥ることは、誰にでも あり得ることだ。さらに言えば、大きな成功を体験した組織や人ほ ど、留意するべきだ。 客観的成功分析が不足し、続けるべきことを続けず、変えるべきこ とを変えずに続けてしまう。すると視野狭窄に陥り、判断を誤って しまう。油断が生じて変化を見過ごしてしまう。 そして、成功を生んだ要素に束縛されて的確な判断ができない。古 今東西、さまざまな組織、人物がこうした成功体験のダークザイド に陥っているのだ。 ★ ある経営者は「成功を続けている人は、成功体験を捨てられる人だ」 と言う。様々な分野・立場で成功を続ける人は、冷静に成功体験と 向き合い、環境変化に応じて柔軟に考え方や行動を変えている。 自動運転、空飛ぶ車、再生医療、そして人間だけでなく、材料に傷 ができても自発的に治すスマート・マテリアルまで、かつてマンガ に描かれた技術が次々と開発、実用化されてくる。 スーパーコンピュータが1万年かけて解く計算問題を、わずか3分 で解く量子コンピュータが実用化されれば、その世界は一気に現実 になる。技術の進化は、あらゆるビジネスモデルを変えていく。 こうした時代に成果をあげ続けるには「過去の成功体験」に基づい た無意識に行う思考・行動を、環境変化に合わせて書き換える習慣 を獲得することだ。 「強い者、賢い者でなく、変化できる者が生き残る」この進化論を 唱えたダーウィンの話として引用される適者生存の法則は、企業に も、個人にも当てはまることとして理解すべきなのだ。 ★ 成功体験の負の側面は4つに集約できる。まず「固執の罠」だ。組 織や自身を取り巻く状況が変化しているのに、過去の成功体験に固 執し、変えるべきことを変えずに続けてしまうのだ。 次に「束縛の罠」だ。成功の原動力になったリソースや価値観が、 逆に足かせとなって変化を阻んでいく罠だ。私たち日本人が特に陥 りやすいパターンだ。 そして「驕りの罠」だ。成功を収めた時、用心しなくてはならない のは傲慢なのだ。成功のあとには、心の中に無意識のうちに驕りが 生じていくのだ。 最後が「思考停止の罠」だ。成功したことが、思考・行動上の制約 や前提となってしまうのだ。その結果、個人や組織に悪影響を及ぼ してしまうのだ。

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