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第125回 介護とブロックチェーン その1
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▼今回の記事
今回は介護の分野におけるブロックチェーンの適用の概要を見て見る。その1である。新型コロナウイルスの蔓延で特に注目されている分野だ。
▼介護とブロックチェーン
新型コロナウイルスの蔓延は、今後も続くとする予想が高い。筆者のもうひとつのメルマガ、「未来を見る」でも紹介したが、最近自然科学の分野ではもっとも著名な研究誌、「ネイチャー」は新型コロナウイルスの今後の予測を掲載した。新型コロナウイルスの正体がまだはっきとせず、国によって条件が異なるため正確な予測は難しいとしながらも、来年には次のようになっているだろうとした。
「2021年6月、新型コロナウイルスの蔓延の勢いは減速しつつも、拡大は続いている。ときおり実施されるロックダウンが、日常のニューノーマルになる。抗体が6カ月間継続する有効なワクチンが開発されるものの、国家間の争いから交渉は難航し、ワクチンの流通は遅い。その結果、世界で2億5000万人が感染し、175万人が死亡する。」
そしてこの論文では、異なった条件による2021年以降の予測を図にしている。日本語に翻訳して以下のサイトに転載した。ぜひ見てほしい。これを見ると、条件によっては2025年までパンデミックは断続的に続くことが分かる。
http://www.yasunoeigo.com/covid19.jpg
●致死率の高い国々
このような状況で新たに注目されているのが、国別の致死率の大きな差だ。医療アクセスが悪い先進国では致死率が低く、医療アクセスのよい先進国では致死率が相対的に低いというのはよく分かる。しかし、注目しなければならないのは、先進国内の致死率の大きな違いだ。先進国でも高い国々は、次のようになっている。
イギリス 14.67%
イタリア 13.94%
フランス 13.91%
ベルギー 12.76%
オランダ 9.80%
一方、先進国でも致死率が低い国々は以下だ。
中国 5.46%
ドイツ 4.17%
アメリカ 3.11%
韓国 1.99%
日本 1.99%
これを見ると、医療アクセスがもっともよく、一般的には福祉国家として知られるヨーロッパ諸国の致死率が極端に高いことが際立っている。
●介護ケアの問題
イギリス、イタリア、フランス、ベルギー、オランダなどの国々に共通しているのは、高齢者の介護ケアが行き届き、高齢者介護施設が充実していることである。そしてこれらの国々では、そうした介護施設における多くの高齢者の死亡が、致死率を引き上げているひとつの要因になっている。もちろんこれが致死率が高い主要な原因であるとはいえないものの、少なくとも考慮しなければならない要因のひとつであることは間違いないようだ。
こうした国々では、十分な感染対策をせず密接な介護ケアが実施されていたことが分かっている。そうした状況で、多くの介護施設で大きなクラスターがいくつも発生した。感染防止のひとつの方法として、人との直接的な接触をできるだけ制限した介護ケアの方法が模索されている。
●介護ケアとブロックチェーン
こうした状況で注目が集まっているのが、ブロックチェーンの効果的な適用だ。それは以下のようなメリットがあるとされている。
1)健康データの統合による個人ベースのケア
いま高齢者介護の現場でも問題になっているのは、高齢者の健康データの統合的な保管が十分にできておらず、個別の高齢者に必要となる細かなケアができにくくなっていることである。EU諸国をはじめ多くの先進国では、高齢者の健康データは受診した医療機関に分散しており、病歴や体質などに関するデータが手に入りにくいという点がある。特にこれは、基礎疾患の有無とその状態が重症化するかどうかのカギになる新型コロナウイルスでは特に重要になる。
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