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【Vol.340】冷泉彰彦のプリンストン通信

冷泉彰彦のプリンストン通信
安倍政権の「終わり方」を考える」  安倍政権の「終わり」が始まりました。総理の健康問題が報道されていま すが、それは大きな問題ではありません。問題を左右するのは、解散総選挙 のタイミングです。総選挙の時期については、色々なファクターが絡んでき ます。 1)来年の任期満了が接近すると、解散権の効力がどんどん弱くなり政権に 不利となる、できるだけ早期にいい条件のタイミングで解散したいというの が、政権周囲の考え方であると思います。 2)3つの「前」という話があります。「2021年のオリパラが正式にキ ャンセルとなる前(キャンセルになると安倍政権の責任問題になるため)」 「トランプが選挙で負ける前(バイデン政権でも安倍総理は対応可能なので、 詭弁とも思えますが)」「株の暴落の前」という「前」のタイミングで解散 しないとダメという考え方です。 3)株の暴落だけでなく、日本経済ということで考えると、2020年第3 四半期GDPの数字が11月中旬に出ます。第2四半期の年率換算マイナス 27.8%というのは衝撃でしたが、第3四半期の数字も悲惨だと、倒産ラ ッシュ、失業ラッシュの厳しい事態になります。その前に解散というのは政 治的には自然と言っていいでしょう。 4)解散風というのは、吹き出すと止まりません。恐らく9月の声とともに 一気に吹くのではと思います。  というようなタイミングの話は、余り難しい問題ではありません。問題は、 ポスト安倍への政権移譲のプロセスです。 5)衆院選に曲がりなりにも勝利し、余力を残して政権を禅譲するというシ ナリオはなかなか想像ができません。というのは、選挙後に「世界的な経済 不安」あるいは「日本における経済指標の悪化」は免れない中で、ポジティ ブな禅譲劇というのは、考えにくいからです。と言いますか、現在の安倍総 理に後継指名をするだけの権力はないと思いますし、その権力を確保するだ けの選挙大勝利というのも考えにくいです。 6)となるとありそうなのは、政権維持ギリギリの線はキープしたが、選挙 としては敗北なので、安倍総理は退陣。そこで党内の総裁選で正々堂々と決 着させるというシナリオです。岸田、菅、石破、河野、茂木といった顔ぶれ で競うことになるわけですが、どうもこのシナリオでは、安定政権を作るの は難しいように思います。国難にあたって、そんな決め方では総理に権力が 集中しないし、経済再生とか、日米関係、日中関係といった「従来路線の変 更」を世論に納得させることはできないからです。 7)一つの可能性は、「懲りない」小池百合子氏の動向です。新党などの派 手な仕掛けだと、有権者がついてこない(国政全般を任せるほどの世論の信 用はない)ので、噂されているのは二階氏に接近して自民党に電撃復党、自 民党をジャックして一気に党内外に手を突っ込んで新勢力で総選挙という仕 掛けです。  その場合に、例えば進次郎氏は往年の小泉純一郎政権における田中真紀子 氏の立ち位置になるのかもしれません。そう考えると、唐突な靖国参拝も理 解できます。総選挙で派閥が大勝ちして、自民党も過半数維持となれば小池 ブームで政権奪取は可能となります。

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  • アメリカ北東部のプリンストンからの「定点観測」です。テーマは2つ、 「アメリカでの文脈」をお伝えする。 「日本を少し離れて」見つめる。 この2つを内に秘めながら、政治経済からエンタメ、スポーツ、コミュニケーション論まで多角的な情報をお届けします。 定点観測を名乗る以上、できるだけブレのないディスカッションを続けていきたいと考えます。そのためにも、私に質問のある方はメルマガに記載のアドレスにご返信ください。メルマガ内公開でお答えしてゆきます。但し、必ずしも全ての質問に答えられるわけではありませんのでご了承ください。
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