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第604回 米中の武力衝突は実質的に不可能?アメリカの本音 前編、明らかになるファティマ予言の真実 前編
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▼今回の記事
米中対立に関するアメリカ国内の雰囲気が少し変わってきた。予期しない武力衝突も含め、米中の戦争は不可能である状況が確認されている。その過程で、米中対立の本質も認識されるようになった。これを解説する。記事を前編と後編の2回に分けた。今回は前編である。
次に、1916年の「ファティマの予言」について、最近明らかになった真実を紹介する。驚くべき内容だ。ファティマの予言は存在していないという。これも前編と後編に分けた。
▼不可能な米中戦争
それでは早速今回最初のテーマを書く。予期しない武力衝突も含め、米中戦争の不可能性と、米中対立の本質についてである。
延期されていた「第1段階合意履行点検協議」が開催された。米通商代表部(USTR)は、8月24日の夜、中国と第1段階の貿易合意を巡り電話会談を行ったことを明らかにした。会談にはアメリカ側からライトハイザーUSTR代表とムニューシン財務長官、中国側からは劉鶴副首相が参加した。
米通商代表部の声明によると、双方は「知的財産権保護の強化や金融サービス・農業分野での米企業に対する障壁の撤廃、技術移転の強制の廃止」を確実にするために「貿易合意が求めた構造改革の実行」に向け中国が講じた措置を議論したという。
これは、米中対立の緊張が続くなか、両国は米中の決定的な断絶を回避し、既存の経済関係が維持されることを示している。中国の米農畜産品購入は、大統領選挙を控えたトランプ大統領にとって、中西部の支持を固めることができる魅力的な取引となった。この協議では、やはり今回の米中対立はトランプの大統領選挙における支持率の上昇を狙ったものである可能性が高い。
一方、米中の緊張関係は消えてはいない。中国政府は8月24日から29日までの期間に、南シナ海で軍事演習を実施すると発表した。先月トランプ政権は、南シナ海を巡る中国の海洋権益に関する主張を否定する方針を打ち出している。中国としてはこれに対抗し、みずからの権益を改めて主張するねらいがあると見られている。
中国の軍事演習の実施に反応し、マーク・エスパー米国防長官は、米大手経済紙、ウォールストリート・ジャーナルに「中国人民軍へ防御を固めよ」との記事を寄稿した。このなかでエスパー国防長官は次のように書き、人民解放軍は脅威であることを確認した。
「中国人民解放軍(PLA)は8月1日、創設93周年を祝った。共産党総書記でもある習近平国家主席は式典のスピーチの中で、いつものようにPLAを世界クラスの軍隊に変貌させる必要性を訴えた。共産党の戦略を、遠い海外まで浸透させるための力を確保することが狙いだ。」
そしてこれは、既存の国際秩序に対する脅威であるとして次のようにいう。
「彼(習近平)の発言は、自由で開かれた国際秩序と中国政府が主導する専制システムとが世界的に対立する新時代に、われわれが入ったことをはっきりと認識させる。」
このように書き、現在中国人民解放軍と関係も持つすべての国々に人民解放軍との関係を見直し、可能であれば関係を切るように要求した。
●冷静になるアメリカと戦争の不可能性
このように、「第1段階合意履行点検協議」が行われ、少なくとも経済に関しては米中の協力が確認される一方、トランプ政権による中国叩きも継続しており、緊張関係はいまだに維持されている。
しかしながら、こうしたなか、いまにでも米中の武力衝突が始まるとするようなパニック的な反応は米国内では影を潜め、冷静にいまの米中対立を分析し、その行方を予測する記事も多くなっている。それらは、ブルームバーグのような大手経済紙や、CIAが最大のクライアントのストラトフォーのような国際情勢分析専門のシンクタンク、そしてオバマなどの歴代政権の周辺にいた高官たち、またトランプ政権の中枢にいる高官の文書や記事である。
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