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第127回 顔面認証とブロックチェーン その1
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▼今回の記事
前回の記事では「デジタル人民元」と「リブラ」の新しい動きについて書くと予告したが、もう少し情報を集めたいので次回以降に書くことにする。ご了承願いたい。興味深い情報が集まっている。
新型コロナウイルスのパンデミックを背景にした社会不安の増大で、国民を管理する高度監視社会への動きが進んでいる。今回は、監視システムの基礎になっている顔面認証システムとブロックチェーンについて紹介する。
▼パンデミックで導入が進む高度監視システム
新型コロナウイルスのパンデミックが背景となり、欧米を中心に社会不安が起こっている。アメリカでは、5月25日に起こったジョージ・フロイド氏の殺害をきっかけに盛り上がった「BLM(ブラック・ライブス・マター)」運動は全米に拡大し、いまも収まる気配がない。すでに7月初旬の時点で、全米4600カ所で抗議運動が起こり、2600万人が参加している。
そして、法と秩序の維持を訴えるトランプの熱烈な支持者である「オルト・ライト(極右)」運動との間で激しい衝突も起こり、銃撃戦による死者も出ている。大統領選挙が近くなるにつれ、左右両派が暴力的に激突する銃撃事件も増えるものと思われる。
一方、イギリス、ドイツ、フランス、オランダなどのヨーロッパ諸国では、人種差別に抗議する「BLM」運動のほか、長引く行動規制とそれによる経済低迷に抗議する運動が広まっている。警察部隊との暴力的な衝突も日常的な光景になりつつある。
特に欧米を中心としたこのような社会不安の増大のなか、社会の安定と安全を求める声は強くなっている。抗議運動への参加者が増える一方、これに強い危機感を感じ、安全と安定の保証を政府に要求する国民も増えている。
●高度監視システムの導入
そうした国民の声に答え、社会不安の発生を事前に探知して抑止するためのシステムとして注目されているのが、高度監視システムだ。これは、都市のあらゆる場所に設置されているカメラを利用した顔面認証システムが基礎になっている。これは警察が、社会規範の侵犯や破壊行為、またテロの発生の可能性を事前に感知して、対処できるようにしたシステムである。特に欧米を中心この導入がいま急ピッチで進められている。日本でも2021年のオリンピックを契機に、大規模に導入される予定だ。
もちろん顔面認証に基づいた高度監視システムは、新型コロナウイルスの感染者をトラッキングし、その人物の行動履歴から、感染を拡大させた可能性のある場所を特定することもできる。新型コロナウイルスと共存するためには、顔面認証のテクノロジーをベースにした行動監視システムの導入は不可欠だという意見も多い。
●中国の行動監視システム
この分野でもっとも進んでいるのが、共産党一党独裁の中国である。すでに以前から高度監視システムの導入は進んでいたが、新型コロナウイルスの蔓延で導入は一気に加速化している。以下のようなシステムだ。
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