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伏木悦郎のメルマガ『クルマの心』
第396号2020.9.1配信分
●「お前がライター? 嘘だろう!?」
試乗インプレッションがつまらない。慣れ親しんだ文体とフォーマット(書
式)に近いお決まりのパターンに書き手のパーソナリティが若干盛り込まれる。
私が文章なるものを最初に書いたのは1977年頃だったと記憶する。いつも記す
ことだが、私は学校時分に出された作文の宿題を書いたことがない。万端用意
して提出することよりも、授業当日立たされることを選んだタイプ。その私が
よもや文筆業を生業とするなんて誰よりも本人が驚いている。
中高の同級生が聞いたら「お前嘘だろう?」信じる者など一人もいない。だ
から、最初は本当に苦労した。1ページ1000字たらずの記事でも四苦八苦。当
時はまだ原稿用紙(雑誌オリジナルの200字詰め)に鉛筆消しゴムの手書きの
時代である。何をどう書いていいやら。やむなく人真似に徹することになる。
先輩ライターの中から好みの文体を選び、まずはなぞるようにこちらの印象
と重ね合わせる。そもそもオリジナルの記事を書く引き出しがないのだから仕
方がない。しかし、真似に徹するとやがて”これは自分の感覚とは違うな”と
いうように譲れないところが出てくる。
脱稿に難渋するのは今も変わらぬ日常茶飯事だが、それでも試乗や計測テス
ト走行の数をこなしていくと嫌でも引き出しは増えて行く。私は読みながら書
くタイプなので筆は遅い。近頃ではさすがに亀の甲より年の功で、仕上がりは
内容次第になったが、トータルでは遅筆と分類されるだろう。
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