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第129回 自動車産業とブロックチェーン その1
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▼今回の記事
今回は自動車産業におけるブロックチェーン適用の概要をお伝えする。その1である。すでに稼働中のプロジェクトもいくつか紹介する。
▼自動車産業とブロックチェーン
それでは早速今回のメインテーマを書く。自動車産業におけるブロックチェーンの適用である。
自動運転車、電気自動車、燃料電池車など自動車のコンセプトを根本的に変える革命的な転換が自動車産業で起こっている。すでに中国の大都市の一部では自動運転タクシーの実証実験が行われ、早ければ来年の早い時点で全面的に導入される方向だ。また電気自動車への転換と導入も各国では進んでおり、中国の大都市圏のバス路線では電気バスの運行が当たり前になりつつある。
2030年前後になると、自家用車でも自動運転と電気自動車が当たり前の状況になるだろうともいわれている。これに伴い、家電やITのメーカなどが参入し、ガソリン車をベースにした既存の自動車産業の大規模な再編成が行われている。
●ブロックチェーンの導入
このような革命的な転換のなか、ほとんど注目されていないのが自動車産業におけるブロックチェーンの導入である。これは自動車産業における新たな革命を引き起こしているといっても過言ではない。すでにこの分野では、アメリカを中心に250社の新興企業が立ち上がっており、自動車産業の様々な分野に導入が進んでいる。
自動車産業は、あらゆる種類の製造業がかかわる裾野が非常に広い産業である。そのため、期待されるブロックチェーンの適用範囲も広い。そこで今回は、ブロックチェーンの導入を、車両や運転にかかわる分野と、自動車の製造にかかわる分野の2つに分けて掲載する。まずは車両と運転にかかわる分野だ。
●車両と運転のブロックチェーン
このエリアでは、以下が導入が期待されている分野だになる。
1)欠陥車のリコール
欠陥車のリコールは、自動車産業にとっては非常に大きなコストの負担になる。2016年には、なんらかの欠陥が原因でアメリカだけで5300万台の車がリコールされた。もしこうした状況でブロックチェーンが導入できれば、リコールにかかわる費用を大幅に削減できる可能性が出てくる。
製造した車のみならず、車に組み込まれているすべての部品をブロックチェーンに登録する。すると、特定の部品に問題が発生した場合、どの車両に問題となる部品が組み込まれているのか簡単に分かるので、リコールの対象となる車両を厳密に特定できる。これは特定の年度に生産された特定のモデルをすべてリコールすることとくらべると、格段に費用がかからない。
2)車の所有権の登録とトラッキング
部品同様、車の所有権、ならびに所有権の移転の状況もすべてブロックチェーンに登録することができる。すると、どんな車両でもトラッキングが可能になる。このようなシステムがあれば、車の事故の履歴や、所有権の移転の状況などはたちどころに分かるので、過去の問題を隠して中古車として販売することは実質的に困難になる。
こちろんこの登録システムとトラッキングのシステムが導入されると、リコールの対象となる問題部品が組み込まれた車もピンポイントで特定できる。リコール部品のトラッキングシステムと、所有権の登録システムは同時に導入されなければらなない。
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