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高野孟のTHE JOURNAL Vol.464 2020.9.21
※毎週月曜日発行
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《目次》
【1】《INSIDER No.1065》
「中国脅威論」を煽って南西諸島進駐を果たした
自衛隊ーー9月19日那覇「不屈館」での講演
【2】《CONFAB No.464》閑中忙話(9月13日~19日)
【3】《FLASH No.374》
駆け引き、もみ消し、恫喝の裏技でのし上がった
卑小な宰相ーー日刊ゲンダイ9月17日付「絵3bm
を読む」から転載
【4】《SHASIN No.408》付属写真館
■■ INSIDER No.1065 2020/09/21 ■■■■■■■■
「中国脅威論」を煽って南西諸島進駐を果たした自衛隊
ーー9月19日那覇「不屈館」での講演
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沖縄の基地問題については、辺野古の新基地建設を止
めるのはもちろんのこと、嘉手納空軍基地をはじめ既存
の膨大な米軍基地をどう減らしていくか、なくしていく
かが中心課題ですが、他方では、日本自衛隊がじわじわ
と南西諸島に進出し、与那国、石垣、宮古、奄美などに
基地を増やしているという新たな現実があります。仮に
知事を先頭とする県民の闘いによって米軍基地が減り始
めたとしても、その後ろから自衛隊が出てきて新基地を
作ったり米軍基地に共同使用などの形で進出してきたの
では、沖縄県民にとっての過大な「基地負担」は総量と
して変わらないか、むしろ増えてしまうかもしれないわ
けで、こんなことでは、万国津梁、アジアの軍事の拠点
ではなく平和の礎となりたいという沖縄県民の生き方は
阻害されてしまいます。
●50年前の著作で自衛隊の南進への懸念を指摘
私には、沖縄に関わるいくつかの著作がありますが、
その最初のものは、1971年に出した『君の沖縄』です
(写真1
https://bit.ly/2RIcuxo )。労働者教育協会
編、学習の友社刊で、表紙には私の名前が出ておりませ
んが、あとがきには4人の共同執筆者の1人として記さ
れています。私は1968年に学生運動漬けだった6年間の
大学生活を終え、ジャパン・プレス・サービスという日
本共産党中央に直結した国際通信社で記者としての生活
を始めていましたが、その頃、70年前後の政治の焦点は
ベトナム戦争と沖縄返還問題でした。
当時、世の中全般は沖縄の日本復帰は目出度いことじ
ゃないかという空気だったし、共産党も復帰それ自体は
長年の県民の闘いの成果であるというものでしたが、私
たちはちょっと違っていて、もちろんそれはそうなのだ
けれども、(1) まさにその県民の闘いによって基地の維
持に危機感を抱いた米軍が、日本政府と自衛隊を沖縄に
呼び込むことで、直接統治から間接統治に切り替えて、
米軍基地機能を維持しようとしているのではないか、
(2) それどころか、日米安保条約が沖縄に適用されるこ
とで安保そのものが変質し、「核抜き・本土なみ」とは
正反対の「核付き・沖縄なみ」への本土の沖縄化が始ま
るのではないか。(3) さらには「沖縄防衛」の名の下に
自衛隊が進出し、自衛隊の行動半径が大きく南方に拡大
し、その分、日米共同作戦の範囲も拡大するのではない
か(写真2
https://bit.ly/2RIcuxo )ーーという負の
部分に正しく目を向けなければならないことを主張しま
した。
この論調は共産党中央の気に入るところではなく、後
にこの筆者たちは批判されることになります。しかし、
復帰から来年で50年というその後の歴史を振り返れば、
ここ沖縄で起きたことはまさにそういうことだったので
はないか。とりわけ近年は、陸上自衛隊が与那国、石
垣、宮古、そして奄美の島々に次々に新しい基地を建設
して進出してくるというおぞましい事態に至っている
し、辺野古基地を何が何でも建設しようというのもこの
脈絡の中にあることです。辺野古は、完成した暁には
「日米共同管理」の名で自衛隊が入り込み、昨年創設さ
れた「離島奪還」目的の「水陸機動部隊」もオスプレー
を伴って佐世保から移駐するでしょう。辺野古を何が何
でも作りたがっているのは米軍よりもむしろ自衛隊で
す。
●海上保安庁HPの中国公船出没のデータ
こんなことが罷り通るのは、政府がマスコミを使って
「中国脅威論」を振りまいて国民を洗脳しているからで
す。確かに中国は内外にいくつもの矛盾を抱えていて、
それらを力づくで突破して「偉大なる中国の復活」を達
成しようとする習近平政権のやり方は、かなり粗暴で、
私も賛成しかねることが多いですが、そうかといって、
(1)チベット・ウイグル・モンゴルの3大異民族に対す
る抑圧、(2)香港民主化運動への弾圧、(3)台湾への軍事
的・外交的圧迫などは国内統合に関わる問題であり、そ
れらと、(4)インドとの国境紛争、(5)主に戦略ミサイ
ル原潜の作戦基地確保に関わる南シナ海紛争、(6)主に
漁業・海底鉱物資源の権益に関わる東シナ海紛争、(7)
米中貿易摩擦など対外的な問題群とを、全部ゴタ混ぜに
して「中国は怖い」と煽り立てるのはいかがなものかと
思います。
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