日銀の物価安定目標は景気の足かせ
日銀が進める物価安定目標は、今の日本経済には負担になっています。安倍総理が退陣して政権が変わるタイミングこそ、日銀は「物価安定目標」をはじめとする異次元緩和策の見直しを行う絶好のチャンスでした。しかし、17日の会見で、日銀の黒田総裁は、「任期まで頑張るつもり」、と言い、「新政権とも連携して政策を進める」と述べました。政策見直しのチャンスをみすみす逃したことになります。
「物価安定目標の2面性」
同じ物価安定目標でも、インフレを抑制する方向での安定目標と、インフレを刺激する方向での安定目標とでは、経済に与える影響は全く異なります。前者は80年代までの日本や、何年か前の主要国で取られていたもので、主に金融引き締め的な政策です。短期的には引き締めが経済に負担となりますが、長期的には物価の安定が投資や消費を通じて経済の安定をもたらすと考えられました。
逆に昨今の日本や世界の主要国でなされる「インフレ率を2%に高める」ための安定目標は、金融緩和策によるもので、短期的には経済を刺激すると期待されるものの、長期的な影響は考慮されてきませんでした。しかし、この7年8か月の日本経済を見ると、やはり長期的には成長の足かせになっていたと考えられます。そのからくりを見てゆきましょう。
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