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枝野幸男氏:民主党は本当に生まれ変わったのか[マル激!メールマガジン 2020年9月30日号]

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マル激!メールマガジン 2020年9月30日号 (発行者:ビデオニュース・ドットコム https://www.videonews.com/ ) ────────────────────────────────────── マル激トーク・オン・ディマンド 第1016回(2020年9月26日) 民主党は本当に生まれ変わったのか ゲスト:枝野幸男氏(立憲民主党代表) ──────────────────────────────────────  3年前の小池東京都知事による「希望の党騒動」をきっかけに、一旦は袂を分かった旧立憲民主党と旧国民民主党が先週ともに解党し、その大半が枝野幸男氏率いる新しい立憲民主党として再結集した。その結果、150人からの国会議員を擁する大野党勢力が一夜にして登場することとなった。  「再結集」というと、一旦はバラバラになった旧民主党が「再び元の鞘に戻っただけだろ」と見る向きが多いのは無理からぬ事だろう。しかし、枝野代表はこの「元鞘」説を明確に否定する。そしてその理由として、新民主党は新自由主義を明確に否定できたことをあげる。その精神は立憲・国民の合流交渉の際に両党の幹事長間で合意した党の綱領に明確に謳われている。 党の綱領に「反新自由主義」の旗を立てた以上、新民主党の議員は現職も、これからこの旗の下に結集する人も、この理念は共有することになると枝野氏は言う。  振り返れば民主党の歴史は、内部対立の歴史だった。元々、1996年に赤松広隆氏ら社会党の右派を中心とするグループと自民党から離脱した武村正義氏が率いるさきがけが合流して結党された民主党は、その後自民党、民社党の流れをくむ民政党や旧自民党の小沢一郎氏らグループとの合併を繰り返しながら大きな塊に成長し、2009年には遂に念願だった政権交代を果たした。 しかし、その内実は社会党、日本新党、自民党、民社党、みんなの党、維新など、場合によっては理念が180度違う出自を持った議員が非自民・反自民を唯一の旗印に集まった、まるでごった煮のような政党だった。  これまでの民主党には市場原理主義色の強い、本来であれば自民党から出ていてもおかしくない議員が多くいたことにくわえ、これは社会党の影響かもしれないが、とにかく「改革政党」を名乗ることが必然であると考える議員が多かった。しかし、ここで言う「改革」とは、少なからず小泉改革に代表される新自由主義的な改革の色彩を強く浴びていたと枝野氏は言う。それでは自民党との間の改革競争になってしまい、有権者はあえて政権交代のリスクを取ろうとは考えない。  分裂騒動を経て立憲の旗の下にリベラル勢力(ただし枝野氏はこの勢力を「保守本流」と呼ぶ。その意味は番組内で詳細に議論しているのでそこに譲る。)を結集することが可能になったために、新しい立憲民主党では「市場原理」や、ともすれば改革の名の下には民主主義の否定さえ辞さない「改革至上主義」との明確な決別を党の綱領で謳うことができるようになったのだという。  現時点では自民党と立憲民主党の間には支持率に大きな開きがあるが、それでもいざ選挙をやれば、立憲、国民、社民、共産が選挙協力をして統一候補を立てた場合、60以上の小選挙区で結果がひっくり返るというのが、現在の日本が採用している選挙制度の特徴でもある。それは自民党も重々承知の上で、菅政権発足直後のご祝儀で高支持率のあるうちに、そして野党側の選挙態勢が整う前に、解散を打ってくる可能性は十分にある。  政権から転落してから約8年、辛酸をなめ続けてきた民主党の再生が本物かどうか、われわれがこれからしっかりと見極めなければならない。しかし、いずれにしても民主党にとってこれが最後のチャンスになるということだけは間違いないだろう。  150人からの国会議員を擁する大野党を率いることとなった枝野氏に、新立憲民主党の考え方、覚悟のほど、今後の課題と抱負などをジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司がズバリ聞いた。  ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 今週の論点 ・小泉改革に引きずられ、対立軸を失った野党 ・自然と出来上がり、自民党との対立軸が明確化した党の理念 ・枝野氏が重要視する透明性と多様性 ・社会保守として「まとも」な政策を +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ ■小泉改革に引きずられ、対立軸を失った野党 神保: 今回は9月最後のマル激です。今月は首相の交代があり、新しく大きな野党が生まれるという大きな政治のシーズンでしたが、あっという間にそれも終わってしまった感があります。

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