第130号(2020年10月9日号)
『最後の調停官 島田久仁彦の無敵の交渉・コミュニケーション術』
毎週お読みくださりありがとうございます。
さて、第1部【無敵の交渉・コミュニケーション術】のコーナーでは、
今回は【交渉人のタイプ別対処法】についてお話しいたします。
そして国際情勢に目を移すと、今週はいろいろな案件が進行中です。
一つ目は、世界でコロナウイルスの感染が再拡大する中、ついにトランプ大統領が感染しました。
様々な情報が錯綜し、その影響がどのように11月3日の大統領選挙の結果や、国際情勢に影響を及ぼすのかは不透明ですが、
アメリカ大統領選挙後の世界に向けて各国が立ててきたシナリオに変化が見られることは確実でしょう。
まだ完全には回復していないとのことですが、今後、どのような状況になっていくのか要注目です。
二つ目は、コロナウイルスのパンデミックの影響がここにきて、また新興国経済を絶望の淵に押しやっています。
インドやトルコ、ブラジルなど、主要な新興国において消費者物価、特に食物関連の物価、の上昇が止まらず、
そこに通貨安が追い打ちをかけて、各国の通貨・金融政策の手を縛っています。
インドやブラジルでは中央銀行に対して利下げの圧力がかかる中、
どちらの国もこれ以上の利下げは限界と、見送りを表明しました。
トルコについては、逆に利上げに踏み切っていますが、1月以降、対米ドルで価値を2割以上下げているトルコ・リラと、
コロナによって希望を絶たれた観光業のスランプは、大きな圧力となり、
エルドアン政権の強権的な手法に対して疑問の声が大きくなっています。
このままでは再度、新興国経済のデフォルトが現実味を帯びてくることになります。
ILOが予想した16億人を超える失業、世界平均で10%超のマイナス成長、通貨危機の連鎖など、
恐ろしい予測が現実化するかもしれません。
三つ目は、コーカサスの火薬庫とも呼ばれるアルメニア―アゼルバイジャン紛争の泥沼化です。
米仏ロによる共同声明で双方に即時停戦を呼び掛けていますが、アゼルバイジャンはこれを拒否し、
自らの力で問題解決を図るという対立姿勢を鮮明にしました。
それに後ろ盾のトルコが加わり、対アルメニア攻勢が強化され、ついにはナゴルノカバエフ地域外にも紛争拡大しました。
問題は、この紛争がただの地域紛争ではないことで、問題の収束が見られない場合は、
チェチェンや南オセチアにも波及するかもしれませんし、東地中海での争い、中東での混乱を加速・深化させるかもしれません。
これらについては【2】のコーナーでお話しします。
四つ目は、先週号でも取り上げた【世界の中国離れ】についての続報です。
10月6日に東京で自由で開かれたインド太平洋地域を目指すべく、
クアッドと呼ばれる4か国体制(日米豪印)の外相会談が開かれました。
ここにBrexitでアジア戦略を強化する英国、中国との決別を決めたドイツ、
そしてフランスとの“対話”“協議”があったようです。
ポンペオ国務長官の中国共産党性悪論は、横に置いておくとしても、確実にそれぞれの国々の視点から、
中国の勢力拡大と強権的な姿勢への懸念と対抗が見られます。
唯一、国際的な安全保障枠組みが存在しないインド太平洋地域に
NATO的な安全保障・経済協力スキームを作ろうとの思惑もあるようです。
こちらについては、いろいろと続報が入ってきていますので、また来週以降にでも【2】のコーナーで取り上げたいと思います。
今回もいろいろなお話しをしますが、どうぞお付き合いくださいね。
それでは今週号、スタートします★
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