2020年 第 38号
【長尾和宏の「痛くない死に方」】
皆さん、こんばんは。長尾和宏です。朝晩が寒くなってきました。今週は、毎晩
お看取りがあって、なんだかブルーな気持ちがいつになく抜けません。
台風14号の上陸に冷や冷やしていましたが、どうやら上陸は免れたようで、ほっと
しています。お看取りの夜が暴風域になってしまうと、しんどさも増します。
さて、今週とてもしんどかった人といえば、この人ではないでしょうか。
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「事件の日のこと、昼休み前に真菜から、公園の滑り台で遊ぶ莉子の写真が送られて
きて、テレビ電話で話をしました。それが最後です。そのあとで警察から電話がかか
ってきたが、家族の容体を教えてくれず、電車での移動時間が地獄のようでした。
対面した2人は、変わり果てた姿で傷だらけになっていました。莉子(のご遺体)は
『見ないほうがいい』と言われました。どれだけ痛かったか。どれだけ無念か、考え
て涙が止まりませんでした。火葬まで2人と過ごし、夜は2人の間に横たわり手をつ
なぎました。莉子は、ご飯の時も手をつなぎたがる子だったので、また3人で手をつ
なぎたかったのです。しかし2人の手は冷たく硬くなっていて、私が握っても、握り
返してくれることはありませんでした。私はずっと2人に話しかけ続けました。
葬儀の前は斎場に泊まり、莉子にノンタンの絵本を読み、2人といっぱい話しまし
た。『莉子、大好きだよ』『真菜と出会えて幸せだった。莉子を天国に連れて行ってあ
げてね』。2人の間を何度も往復しながら伝え続けました……(中略)
プロポーズした時、嬉し泣きしている真菜を見て、一生かけて幸せにしようと誓いま
した。そして莉子が生まれた日、愛する人との間に授かった子を、自分の人生をかけ
て守ろうと思いました……」
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