第133回　再生可能エネルギーで発展するブロックチェーン　その１

…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━… 第133回　再生可能エネルギーで発展するブロックチェーン　その１ …━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━… ▼今回の記事 まず今回は、仮想通貨の現状についてお知らせする。各国による規制が強まる可能性が高い。 次にメインテーマとして、再生可能エネルギーの分野におけるブロックチェーン導入の概要を解説する。このテーマはすでに２０１８年４月に紹介したが、医療分野同様、過去２年間の発展は著しい。そこで、今回改めて紹介することにした。 ▼再生可能エネルギーで発展するブロックチェーン それでは今回のメインテーマを書く。再生可能エネルギーの分野におけるブロックチェーンの導入に関してだ。この分野は、このメルマガの第１回と第２回の記事で一度紹介したことがある。２０１８年４月であった。しかし、この２年半の間、前回紹介した医療分野と同様に、この分野でも著しい発展が続いている。注目されている新規のプロジェクトも多いので、改めて紹介することにした。情報をアップデートする。一部に２年半前の記事の内容と重複する部分もあるが、ご了承願いたい。 いまテクノロジーの急速な発展に伴い再生可能エネルギーのコストが非常に安くなっている。以下が最近のコストだ。 ●安くなる再生可能エネルギーのコスト ・石油火力発電（日本）　　　25円/kWh ・天然ガス火力発電（日本）　13.7円/kWh ・原子力発電（日本）　　　　10.1円/kWh ・風力（イギリス、オランダ）7円/kWh ・太陽光（アラブ首長国連邦）3円/kWh ここまで安くなると、再生可能エネルギーは石炭、石油、そして原子力など既存のエネルギー源と十分に競争できる水準になる。将来は再生可能エネルギーが発電の基本的なインフラになる方向にあることは間違いない。 ●再生可能エネルギー特有の問題 しかし、そのような状況の変化があっても、再生可能エネルギーの拡大を阻む特有な問題がある。そうした問題の解決策として期待されているのが、ブロックチェーンの導入なのだ。特にこれは、小規模のコミュニティーベースの発電とともに、大都市を対象にした巨大な発電と送電のインフラでも、積極的な導入が期待される。それらは以下の問題である。 １）送電網にかかる負荷の緩和 太陽光にしろ、風力にしろ、発電はそのときの天候に依存する。発電に都合のよい天気であればよいが、かならずしもそうではない。無風の状態では風力発電は機能しないし、雨や嵐、曇天などの状況では太陽光発電に期待することができない。これはこのような問題がなく、一定量の電力をどのような状況でも安定して供給できる既存の発電方法とは大きく異なるポイントである。 この発電の不安定さが原因となり、送電網には過重な負荷がかかってしまう。これは送電網を不安定にさせる大きな要因となるだけではなく、送電網を維持するための大きなコストとなって跳ね返ってくる。再生可能エネルギーが通常の発電方法として一般化するためには、まずはこの問題が解決されなければならない。 特に風力発電に対応できるような巨大な蓄電方法が存在していない現状では、発電量が送電網のキャパシティーを越えそうになると、風力発電を一時的に停止する必要が出てくる。特に風力の依存度の高いドイツのような国ではこれが頻繁に起こっている。風力発電の再起動にはコストがかかるので、これが電力会社の負担になっている。 そのような状況で、電力網に負荷がかかり出力が不安定にならないように調整するシステムとしてブロックチェーンが導入できるのだ。もし「イーサリアム」の「スマートコントラクト」のようなプログラムの自動実行機能を持つブロックチェーンを効果的に導入できるのなら、送電線のキャパシティーを越えて負荷がかからないように、風力や太陽光の発電量を自動的に調整することができる。風力であれば、ファンの回転数を自動的にコントロールしてくれる。 ２）世帯間の需給のムラの調整