◆◆ 転移性前立腺がんの患者さんに対する前立腺全摘術 ◆◆
前立腺がんが見つかって、転移性前立腺がんの診断がついたとき、現在の医学では、転移性前立腺がんの根治は困難です。
治療法は限られます。
内分泌療法は一定の効果はあります。
しかし、やはりその効果は永遠には続きません。
転移性前立腺がんの治療の中心は、内分泌療法(去勢術)です。
昨今、イクスタンジ、ザイティガ、ドセタキセル、アーリーダなどが、転移性前立腺がんの診断で、すぐから使えるようになりました。
前立腺全摘術や前立腺への放射線療法は、転移性前立腺がんの患者さんには、適応外(標準治療ではない、行わない方がいい)とされていますが、少し見直されています。
9月10月と転移性前立腺がんの患者さんで、前立腺への放射線療法は効果がある、延命効果があるかもしれないとお話ししました。
今までの研究では、
転移性前立腺がんでの前立腺への放射線療法は単純にはすべての患者さんに対して、推奨される治療ではないけれど、転移数の少ない(骨転移が5個未満)、転移量が少ない患者さんでは効果が期待できるかもしれないという結果が報告されています。
これらの試験から、ヨーロッパ泌尿器科学会のガイドラインやNCCN(米国の代表的な診断・治療ガイドライン)では、
『転移量が少ない転移性前立腺がんでは、前立腺への放射線療法は推奨される』となっています。
現時点では、おおもと(前立腺)への放射線療法はガイドラ
イン上でも、特殊な治療ではなく、転移が少ない患者さんでは、考慮されるべき治療となっています。
前回紹介した免疫放射線療法(アブスコパル効果)は、将来的には、なにがしかの工夫がなされれば期待できるかもしれません。
放射線療法になにかの免疫賦活剤(免疫チェックポイント阻害薬など)を加える方法は、今後期待できる治療法かもしれませんが、現状では、お勧めの治療はありませんし、保険適用ではありません。
さて、特定の(転移数が少ない)転移性前立腺がんの患者さんにおおもとの前立腺に放射線療法を行うことで効果があるとすれば、『前立腺全摘術(前立腺摘除とリンパ節郭清)』は、効果があるでしょうか。
放射線療法と同様に、おおもとの前立腺内の前立腺がん細胞を死滅・取り除けば、全体としての腫瘍の量が減り、将来的に遠隔転移などを減らし、生存率が向上するかもしれません。
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