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第134回 再生可能エネルギーで発展するブロックチェーン その2

ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン
…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━… 第134回 再生可能エネルギーで発展するブロックチェーン その2 …━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━… ▼今回の記事 今回は、再生可能エネルギーの分野でいま注目されているプロジェクトを一挙に紹介する。また、この分野におけるブロックチェーン導入にかかわる問題点も指摘しておくことにした。 ▼ブロックチェーン導入の問題点 いま注目されているプロジェクトを紹介する前に、この分野におけるブロックチェーン導入の問題点も指摘しておくべきだろう。たしかに再生可能エネルギーの分野では、ブロックチェーンの導入が進みつつある。しかし今後の拡大は、これらの問題点の克服ができるかどうかにかかっている部分も大きい。それは、以下のような問題だ。 1)処理速度の問題 いま自家発電コミュニティーのネットワークに使われるのが、スマートコントラクトを実装したイーサリアムのブロックチェーンである。しかし、イーサリアムのブロックチェーンに解決しなければならない特有の問題も存在している。 現在、再生可能エネルギーの分野では3分の2以上のプロジェクトがイーサリアムのスマートコントラクトを使っている。スマートコントラクトとは、プログラムの自動実行機能を実装したブロックチェーンのことだ。 これを適用して自家発電を行っている世帯間のネットワークを作ると、その世帯では使い切れない余った電力を自動的に他の世帯に売り、また反対に、電力の不足が起こると近隣の世帯から自動的に電力を買うことができる。スマートコントラクトのイーサリアムのブロックチェーンを使うと、世帯間の電力の過不足が自動調整される安定した電力網が形成される。 しかし、イーサリアムのブロックチェーンに早急に解決しなければならない問題がある。それは、処理速度とコストの問題である。 現在のイーサリアムのブロックチェーンでは、毎秒16件のトランスアクションを処理することが可能で、現行のテクノロジーだとそれを最大毎秒30件まで引き上げることは可能だ。100世帯程度の小規模のコミュニティーであれば、この処理速度でも不都合はない。 しかしながら、イーサリアムのブロックチェーンを1000世帯を越える比較的に規模の大きいネットワークに適用すると、この処理速度ではまったく追いつかない。毎秒1000トランスアクションを処理できる能力がないと、安定したプラットフォームを作ることは難しい。 2)コストの問題 さらに、トランスアクションの処理にかかるコストも問題になる。スマートコントラクトのブロックチェーンは電気自動車の充電システムに応用可能だ。「ブロックチャージ」などすでに実証実験に成功しているサービスもある。 しかし、トランスアクションの処理には、一件あたり30ドルから50ドルのコストがかかってしまうことが分かった。これからスマートコントラクトのテクノロジーの進展とともに、コストは安くなることが期待できるものの、現時点ではこの高いコストがボトルネックになる。 3)行政による規制の問題 そして次の問題は政府の規制である。再生可能エネルギーの分野にブロックチャージを適用すると、自家発電をしている各世帯は、スマートコントラクトの機能を介して、自動的に電力の売買が相互に可能になる。しかしこれは、行政の規制と抵触することになる。 例えばニューヨーク州だが、電力を販売する場合、販売業者としての登録が必要になる。そのためには、電力を供給できる発電施設を持っていることが条件となる。これは現行の規模の発電所を念頭においた規制なので、太陽光で自家発電を行っているような極小世帯を対象にしているわけではない。しかし、電力を販売するとなると、現行の規制はそのまま適用されてしまう。 すると、スマートコントラクトのブロックチェーンで世帯間で電力の売買ができるようなプラットフォームを作ったとしても、業者登録がない限り、電力を売ることは禁止されてしまう。 これはニューヨーク州の例だが、これと同様な規制がある地域は世界に多い。ブロックチェーンによるピアツーピアの電力網を構築するためには、この法的な規制が改正されなければならない。 ▼いま注目されているプロジェクト 再生可能エネルギーの分野でブロックチェーンを導入するにはこのような問題点がある。だが、これらをひとつひとつ克服しながら、ブロックチェーンの適用は拡大するに違いない。それでは次に、この分野でいま注目されているプロジェクトを一挙に紹介しよう。 ●VIA 災害時における停電を回避するためのシステム。 それぞれの世帯が発電する再生可能エネルギーの導入が拡大しても、まだ中央の発電所による電力供給に依存する状況は変わらない。これから依存度は次第に低下するだろうが、再生可能エネルギーがすべての電力需要を担うようになるにはまだまだ時間がかかることは間違いない。

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  • ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン
  • 昨年から今年にかけて仮想通貨の高騰に私たちは熱狂しました。しかしいま、各国の規制の強化が背景となり、仮想通貨の相場は下落しています。仮想通貨の将来性に否定的な意見が多くなっています。しかしいま、ブロックチェーンのテクノロジーを基礎にした第四次産業革命が起こりつつあります。こうした支店から仮想通貨を見ると、これから有望なコインが見えてきます。毎月、ブロックチェーンが適用される分野を毎回紹介します。
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