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高野孟のTHE JOURNAL Vol.470 2020.11.2
※毎週月曜日発行
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《目次》
【1】《INSIDER No.1071》
トランプがパックス・アメリカーナを壊した?
ーークルーグマンの混濁した議論
【2】《CONFAB No.470》閑中忙話(10月25日~31日)
【3】《FLASH No.380》
菅内閣は個別政策のみで長期的ビジョン・社会像
が見えないーー日刊ゲンダイ10月29日付「永田町
の裏を読む」から転載
【4】《SHASIN No.414》付属写真館
■■ INSIDER No.1071 2020/11/02 ■■■■■■■■
トランプがパックス・アメリカーナを壊した?
ーークルーグマンの混濁した議論
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ノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマンが
『ニューヨーク・タイムズ』に「トランプはいかにして
パックス・アメリカーナを殺したか」と題したオピニオ
ンを寄稿している(10月31日付)。トランプがホワイト
ハウスを去ることになっても、国際関係の分野ではその
悪しき遺産が長く残るだろう。「なぜなら米国は約70年
間、世界の中でこれまでに前例のないある特別な役割を
果たしてきた。今や我々はその役割を失ってしまい、そ
れを取り戻すにはどうしたらいいのか、私には分からな
い」と。
大統領選の投票日を前にトランプ嫌いの知識人がこの
ように慨嘆したくなる気持ちもわからないでもないが、
私に言わせると、米国の現状についての彼の認識は著し
く不正確、というよりも混濁している。
第1に、トランプが登場したからパックス・アメリカ
ーナが壊れたのではない。パックス・アメリカーナは、
ブッシュ父大統領が1989年12月にマルタ島でゴルバチョ
フ書記長と共に冷戦終結の宣言を発した時点で、壊れる
ことを運命づけられていたのである。
第2に、その時以降、米国の指導層にとっての中心課
題は、いかにしてパックス・アメリカーナ、つまり「世
界の中での特別な役割」から「軟着陸」的にーー米国民
を混乱させず全世界に迷惑をかけずにーー降りるかにあ
ったというのに、ブッシュ父以来のどの政権もそれに失
敗してきた。
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