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第137回 不動産業で発展するブロックチェーン その1
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▼今回の記事
今回は、不動産業におけるブロックチェーン導入の発展について紹介する。この分野も2年半前の2018年6月にすでに紹介済みだが、この分野でも発展が著しい。2018年時点で紹介した導入エリアとはさらに異なった領域でもブロックチェーンの導入が進められている。今回はこの分野のその1として、ブロックチェーンの適用と導入の概要を紹介する。
▼不動産分野のブロックチェーン
不動産業の分野は、ブロックチェーンの導入がもっとも早かった分野のひとつである。それというのも、ブロックチェーンとは、ブロック化したデジタルデータを相互にリンクし、複数の分散台帳に書き込むテクノロジーだからだ。これは、所有権の登記が必要な不動産の分野に適用できるのではないかとして、比較的に早くから注目されていたのだ。2018年6月に最初のこの分野を掲載したとき、次のような方面でブロックチェーンが適用されていることを紹介した。すでに時間が経っているので、再度確認してみよう。
1)プロセスの高速化と透明性
不動産の売買は多くの専門家がかかわる長く時間のかかるプロセスになる。物件の引き渡しまでには、契約書の締結、抵当権の抹消、所有権の移転登記などのプロセスだ。これらをプログラムの自動実行機能を実装したスマートコントラクトのブロックチェーンのプラットフォームで処理すると、ほとんどのプロセスが自動化される。すると人の手を介さないので、365日、24時間いつでも不動産の取引が可能になる。
さらに、ブロックチェーンの大きな利点の一つは、透明性の確保である。一度ブロックチェーンの分散台帳に書き込まれたデータはコピーや改ざん、抹消はできない。データの安全性の高い正確な記録が可能になる。そのため、不動産取引にかかわるすべての当事者が、記録されたデータを閲覧することができる。
2)不動産取引の支払い
不動産取引には大きな金額が動く。それは既存の金融機関を介した取引となり、それなりの手数料が発生してしまう。また海外では売り主と買い主が一時的に信託口座を開設し、そこに代金を振り込む形で処理されることもあるが、これにも手数料がかかる。
ブロックチェーンの不動産取引のシステムを使うと、買い主から売り主への代金の支払いは、仮想通貨で行うことができる。これにより、金融機関に支払う手数料が大幅に軽減できる。
3)流動性の確保
変動が大きい不動産市場では、かならずすべての物件が売れる保証はない。その時々の市況の変動よって、かなりの物件が売れ残る可能性がある。また、資産運用のポートフォリオでは、資産すべてを株式や債権にするのではなく、一部を安全な不動産として保有することも一般的に行われている。しかしこの場合、将来流動性が確保できるのかどうかが問題になる。
こうした課題を解決するのが、ブロックチェーンを活用した不動産2次市場である。分散台帳で管理され、スマートコントラクトによるプログラムの自動実行機能を持つこの市場に、投資家、金融機関、売り主、ブローカーが登録すると、ローンや保険契約も含め、不動産取引にかかわるすべてのプロセスが自動実行できる。これは売れ残っている不動産を再度流動化させるためには、よい条件になるはずだ。
4)不動産の登記
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