日本の自治体財政はほとんどが「1割自治」と呼ばれ、国の地方交付税交付金やひも付きと呼ばれる国からの財政支援で賄われている。
自治体に権限も財源も渡して地方自治の拡充を進めるべきというのは、地方分権一括法制定からずっと言われていることだ。 しかし、最近の現金給付をエサに当選をしようと目論む政治家が増えている現状を考えると、自治体の現金給付については禁止すべきだと思ってしまう。
一番最初に現金給付を打ち出したのは、マンション売買疑惑の目を逸らそうと区民一人当たり12万円の支給を決めた東京都千代田区長だ。 いまだにマンション疑惑は解明されていないが、12万円支給の影響は大きく、リコールなどの騒ぎは起こっていない。 区長が代われば12万円支給はなくなり、区議会議員は区長を辞めさせようとすると、有権者から指摘されることが怖いので結局、12万円の支給は可決された。
次に現金支給を打ち出したのは、愛知県・岡崎市長選挙だ。 元衆議院議員の中根康浩氏は市民に5万円支給を前面に打ち出して当選したが、議会の反対に遭い給付を断念。 市民からは裏切りの声も上がる。
さらに、現金支給を打ち出して現職首長を破る選挙があった。 11月15日に投開票された兵庫県丹波市長選だ。
>>自民、公明の推薦を受けた無所属現職の谷口進一氏(67)が、無所属新人で元丹波市議会議長の林時彦氏(66)に敗れた。 争点になった市役所統合庁舎の整備は同市の積年の懸案だが、「市民の声を聞いて決める」と歯切れの悪い谷口氏に対し、林氏は「新しい庁舎は要らない」と公約で訴えた。 新型コロナウイルス対策として打ち出した全市民への5万円給付案も大きな注目を浴び、明暗を分けた。 (神戸新聞NEXTより引用)
岡崎市長選挙で勝利した中根氏と丹波市長選挙で勝利した林氏に共通しているのが、選挙本番直前で現金給付を打ち出した点だ。 相手陣営に反論の時間を与えない作戦で、どちらも計算しつくして発表しているのだ。
このままだと現金給付をエサにして選挙に勝とうとする候補者が……
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