■エネルギーをチャージする
80歳を迎えても活動的でいたいと思うなら、今の自分の生活を見つ
めるべきだ。「細胞を若々しく保つのを阻害している要因は何だろ
うか?」と自問することが重要だ。
目先の利益しか生まない判断を下さないように、自分で環境を作る
ことだ。現代の人間にはテクノロジーがある。そのおかげで、周り
の環境すべてを変えられるようになった。
たとえば、ホルモンから栄養・照明・体温・細胞の振動にいたるま
で、テクノロジーに頼ることができる。それは「ずるいこと」では
ない。自分の体を管理するためのツールなのだ。
人間が体を管理することで最初にすべきことは死を回避することだ。
2番目は、年齢とともに若返ることだ。最後に年齢を重ねるに連れ
て体調がよくなっていくことだ。その方法を伝えていきたい。
★
加齢に伴って命取りになる可能性が高い病気が4つある。すなわち、
心疾患、糖尿病、アルツハイマー病、がんの4つだ。ここでは、こ
れらを「4つのキラー」と呼ぶ。
「4つのキラー」に共通する根本的な問題は、細胞、特にミトコン
ドリアへの累積損傷だ。その進行スピードには個人差があるが、誰
にでも必ず起こる。
まずい行動による損傷はもちろん、新陳代謝や呼吸など生命を支え
る基本的機能にもよる。こうした損傷は、体を弱らせ、長期的に体
力の低下を加速させる。こうして人は毎日少しずつ死んでいくのだ。
生き延びるには、できるだけその損傷を避けることだ。損傷を与え
る原因は、食べ物、空気、照明、環境など日常の至る所にある。こ
れらの損傷が体を疲れさせ、やがて病気をもたらし、死を招くのだ。
20代や30代のうちは「自分は無傷だ」と思うかも知れない。だが、
誤った選択や有毒な環境による損傷は、幼少期から蓄積されている。
疲労、体重増加、思考力低下などを招く。
こうして人の体、無意識には日々刻々と傷つけられていく。だから、
ミトコンドリアの損傷を避けるべきだ。それは損傷を受けた後で回
復させるよりもずっと簡単なことなのだ。
★
体内のミトコンドリアは、摂取した食物からエネルギーを取り出し、
そのエネルギーを酸素と結合させてアデノシン三リン酸(ATP)
と呼ばれる化学物質を作る。
ATPは、細胞が機能するのに必要なエネルギーを蓄える。体内の
ミトコンドリアがこのプロセスを効率的に行うと、多量のエネルギ
ーを生み出す。若者のように溌剌と、能力を最大限に発揮できる。
だが、加齢に伴い、ミトコンドリアの損傷や機能不全が生じる。そ
の過程で過剰なフリーラジカルの生成が始まり、周囲の細胞に漏れ
る。これにより、心疾患、糖尿病、アルツハイマー病、がんを招く。
ミトコンドリアは、細胞アポトーシスを誘導する役割を担う。細胞
アポトーシスとは、細胞の老化や機能不全の際に起こる「プログラ
ムされた細胞死」のことだ。
ミトコンドリアの反応が遅いと、アポトーシスが適切に誘導されず、
死ぬべきでない健康な細胞が死んだり、最盛期を過ぎた機能不全の
細胞が残ることになる。結果、若々しい体を維持できなくなる。
★
現代社会で、ミトコンドリアの機能低下は避けられない。それが加
齢の正常な現象だと思われている。30~70歳までの間に、平均的ミ
トコンドリアの効率は約50%低下し、4つのキラーを発症する。
十分な栄養と質のよい睡眠を重視することだ。炎症性の食事を摂る
といきなり変性疾患を発症するわけではない。周囲の環境による傷
が細胞下レベルの目に見えない損傷をもたらすのだ。
来る日も来る日も、何年にもわたって損傷し体に負担が積み重なる。
長年積み重なった負担に気づく頃には、若々しい体を失っている。
だから、今すぐ損傷の蓄積を防ぐ行動を起こすべきなのだ。
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