前篇(2019年10月号)と中篇(2020年3月号)からだいぶ時間が経ってしまったのですが、今回は僕の第2著作の第5章「リチェティ対フィチーノ:世界霊魂と生命の起源」邦訳版の後篇をお送りします。第5節の後半と最終の第6節となります。
第5節 フィチーノと大地の霊魂(つづき)
まさにこの文脈において、フィチーノは可視的で物質的な種子の存在しない場合の動植物の発生を語った。彼によれば、それでも個別の生物の誕生には個別の種子が必要だという。この問題を回避するために、フィチーノはつぎのように「霊的な」種子の理論を導入したのだ:
「しかしきまった事物は、なんらかのきまった種子に由来するはずで、受動態から能動態に移行するものは、その自身のなかにすでに能動性をもっている原因や、それに相当するもの、あるいはそれ以上の原因によって能動態へと導かれる。普遍的な遠因がより優れていれば、それで十分だと考えるべきではない。あるいは、下界のもっとも不完全な原因の幾つかが、星辰の作用のもとに完全な作用を生みだすことになってしまう。
この記事は約
NaN 分で読めます(
NaN 文字 / 画像
NaN
枚)