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【Vol.354】冷泉彰彦のプリンストン通信

冷泉彰彦のプリンストン通信
「上司への逆パワハラ、モンスター部下は本当に悪いのか?」  あるオンライン記事で、ハラスメント問題に詳しい弁護士の井口博氏の著 書『パワハラ問題』(新潮新書)の一部が紹介されており、そこには部下か ら上司への「逆パワハラ」が紹介されていました。 「パワハラ被害は上司・部下ともに同じ比率で発生」 「我々こそパワハラ被害者だよというのが多くの管理職の実感」 「泣き寝入りする上司が多い」 「パワハラを受けても、管理職不適格と思われるので声が出せない」 「名ばかり管理職がターゲットになる」  ということで、これは確かに深刻な問題のように思えます。また、実際に ハラスメントが横行しているのであれば改善待ったなしだと言えます。  ですが、井口弁護士の指摘の中で次のような点があるのが気になります。 「部下が業務上必要な知識や豊富な経験を持っており、その協力がなければ 業務が円滑に進まない場合に、部下が上司の指示指導を聞こうとしない場合 は部下のパワーによるハラスメントである」  つまり問題は、その部下にあるのではなく組織にあるのです。管理職より も、部下の方が豊富な知識と経験を持っている、つまりスキルの逆転が起き ているのであれば、それはそうした組織に問題があるわけです。  仮に、過去の日本がそれで成功してきたように、管理職は執行役員などへ のチャネルを持ち、予算を持ち、また判断スキルを持っているので、部下の 知識と経験をまとめて組織としての動きに持っていける・・・のであれば、 逆転していても組織は回るでしょう。  ですが、そこで部下がガンガン突き上げてくるというのは、管理職の管理 職としての指揮命令系統内での機能が不全になっているということです。に もかかわらず文句を言うのはハラスメントだということにして、無能な管理 職を守っても、誰もハッピーにはなりません。  もう終身雇用、年功序列という制度は終わっているのです。下剋上をパワ ハラというのではなく、本当に実力本位に下剋上をさせて組織を締まったも のとして、スピード感を上げていかなくては、もう経営は持たない時代なの です。欧米だけでなく、中国圏もアジア圏もそうして時代を前に進めている のです。

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  • アメリカ北東部のプリンストンからの「定点観測」です。テーマは2つ、 「アメリカでの文脈」をお伝えする。 「日本を少し離れて」見つめる。 この2つを内に秘めながら、政治経済からエンタメ、スポーツ、コミュニケーション論まで多角的な情報をお届けします。 定点観測を名乗る以上、できるだけブレのないディスカッションを続けていきたいと考えます。そのためにも、私に質問のある方はメルマガに記載のアドレスにご返信ください。メルマガ内公開でお答えしてゆきます。但し、必ずしも全ての質問に答えられるわけではありませんのでご了承ください。
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