■交渉上手は生き方上手
「交渉」次第で仕事と人生はもっと楽しくなる。交渉というと、賢
くて口がうまい人ことで有利に運べそうだ。しかし、それは交渉上
手の必須条件ではない。
条件は、主に2つだ。まず「人をよく見ている」ことだ。もう1つ
は「自分をよく見ている」ことだ。これが弁護士として長年、数々
の交渉をまとめてきた結論だ。
どんな交渉も、相手の本音や隠れた要望を見極めることが欠かせな
い。それには自分が話すよりも先に相手が話すことを聞きながら、
相手を観察する必要がある。
また、交渉がうまい人は、自分のことをよくわかっている人だ。何
が得意で、何が苦手か知った上で、自分の才能を最も活かせるスタ
イルを身につけている。
つまり、自分のことと相手のことをよく理解し、そのときどきで、
一番効果的な交渉の進め方ができる人、それこそがここでいう「交
渉上手」なのだ。
★
交渉上手になれば、仕事をはじめとしたさまざまな人生の局面で我
慢しなくてよくなる。無茶振りも、ゴリ押しも、交渉で回避するこ
とができるようになるからだ。
周囲から信頼され、トラブルとも無縁になっていく。交渉上手なら、
無理なことは「無理」とはっきり示し、かつ最大限に相手を喜ばせ
るように持っていくことができるからだ。
さらに、困っている人を助けることもできる。言いたいことが言え
ずに我慢している人のために自分が代わって交渉することができれ
ば、ヒーローになることができる。
つまり、交渉上手になれば、仕事もプライベートも、自分の手で、
いい方向に導くことができるようになるのだ。その結果、人生がど
んどん楽しくなるのだ。
一番辛いのは、自分を殺して我慢しなければならないことだ。交渉
がうまくなれば、その一番辛いことを人生からなくしていくことが
できるようになる。だから、自分で人生を楽しくしていけるのだ。
★
交渉で、重要ることは「誰を満足させるのか」の見極めだ。この時
点で、交渉の成否の半分が決まる。誰を満足させるべきかは、大き
く3パターンに分けて考えておく。
まず「相手も自分も満足させる」パターンだ。相手の言いなりにな
るのでなく、満足させながらも1つ上を行く。そんな合意形成の技
術だ。
次に「自分を満足させる」パターンだ。どんなに手強い相手でも、
思い通りに動かす技術が身につけば、ビジネスでもプライベートで
も可能性が広がっていくはずだ。
★
そして、3つめは「相手を満足させる」パターンだ。相手の要望に
徹底的に応えるのだ。「相手の言う通りにすればいいのだから簡単
そう」だが相応のテクニックがある。
真の意味で「相手の言う通りにする」には、本当のニーズを聞き出
す必要があるからだ。人には自分で認識していない潜在的なニーズ
がある。これを考えるクセをつければ「交渉上手」に近づける。
相手も気づいていない「真の目的」を発見し、それをかなえる行動
をすることだ。これが本当の意味での「相手の言う通りにする」と
いうことなのだ。
接し方1つ、問いかけ方1つで、聞き出せる幅は大きく広がるもの
だ。相手のニーズを徹底的に聞き出し、今までないくらい満足度を
高める技術を身につけるべきだ。
「いざ交渉」という時には、まず「これは誰を満足させる交渉か」
を考える。それに応じて、頭の引き出しから適切な技術を取り出す。
これができれば、怖いものはないはずだ。
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