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第143回 グレート・リセットと仮想通貨の高騰、新しいコンセプトの取引所 その1
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▼今回の記事
「ビットコイン」を中心とした仮想通貨の上昇が止まらなくなっている。この背景には、「グレート・リセット」と呼ばれる新しい社会状態に備えるマインドがあるようだ。まずこれを紹介する。次に、このような傾向とともに注目されている仮想通貨の新しいコンセプトの取引所を紹介する。今回はその1である。
▼仮想通貨の高騰とグレート・リセット
「ビットコイン」を中心とした仮想通貨の上昇が止まらなくなっている。3年前の2017年につけた230万円代を突破し、現在は243万円に高騰している。この上昇は短期的なものではなく、今後も長期的に続くトレンドになることが予想されている。
それというのも、新型コロナウイルスのパンデミックで各国の中央銀行は大規模な金融緩和を実施しているからだ。これが背景となり、いわゆる「カネ余り」状況が起きている。そのため、運用先を求める投資家の資金が、仮想通貨の取り引きに流れ込んでいるのだ。したがって、現在の金融緩和策が続く限り、この傾向も強まることはあっても弱まることはないと見られている。
●銀行が動く
このようななか、さらに上昇トレンドを後押しする動きも始まっている。「JPモーガン」など一部の投資銀行を例外として、銀行は一般的に仮想通貨の取引については相当に消極的であった。仮想通貨の相場は投機的なバブルでしかないと見ており、長期的な投資対象となる資産としては認識していなかったからだ。取り扱う銀行があったとしても、比較的に中小の銀行に限られていた。
しかし、この見方を変え、長期的な資産として富裕層を中心にした仮想通貨の保管サービスを提供する大手の銀行が増えている。それらは、シンガポールの「DBS銀行」、スペインの「BBVA銀行」、ロシアのエネルギー大手の子会社である「ガスプロムバンク」、ロンドンの「スタンダードチャータード銀行」などだ。
こうした動きは、これらの銀行が仮想通貨の機関投資家向けの投資サービスの展開を計画しているからだ。こうした投資ができるインフラを持つと、機関投資家向けの取引を実現できる。この結果、機関投資家向けサービスに興味を持っている取引所は、すべて潜在的な顧客とすることができる。
いま銀行業は、新型コロナウイルスのパンデミックによる長期化する不況、大幅な金利低下、デジタル決済・送金手段の拡大による手数料収入の減少などのトレンドがあいまって苦境に立たされている。機関投資家向けの仮想通貨投資は、利益の見込める新しい投資分野になる。
●「グレート・リセット」と仮想通貨
銀行のこうした動きは、間違いなくいまの仮想通貨の相場を押し上げる背景になっている。しかし、海外のさまざまな記事を見ると、どうもそれだけではないようだ。「ビットコイン」を中心にした仮想通貨の大幅上昇の原因と背景をリサーチすると、これから始まると思われる「グレート・リセット」を警戒し、その変動に備えるために、資産の保全先として仮想通貨を選択している投資家のメンタリティーが見えてくる。
ちなみに「グレート・リセット」とは、世界の超富裕層と国際資本が集まる「ダボス会議(世界経済フォーラム)」が、2021年1月に始まる会議のテーマとして掲げているものだ。これは、新型コロナウイルスのパンデミックを契機にして、環境破壊や社会的な格差の矛盾が限界に達した現在のグローバル資本主義の動きを一度リセットし、環境や社会的格差に配慮した持続可能な資本主義へと方向転換させてしまうという計画だ。いわばこれは、既存の社会体制の本質的な変革を目指すものだ。具体的には、ポストコロナの社会では、次のような変化が予想されるという。
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