■なぜ「読む順番」が大切なのか?
物事には順番がある。何かを学ぶにしても、仕事をするにも、順番
が大事だ。ところが、こと読書に関しては、なぜかこの真理が忘れ
られがちだ。
最初に読むべき本、少し慣れてきたら読んでみる本、基礎がしっか
りできて余裕ができた上で、最終的に読むべき本など、本によって
色々だ。
ところが、これを理解せず、最初に誤った1冊を手にしてしまった
ために、理解できずに挫折したという人が少なくない。あるいは、
どんどんおかしな方向に読書を進めてしまうこともある。
順番とは、言い換えれば一種の「型」だ。スポーツや武道でも「型」
が重視されている。良い選手、一流の選手ほど基礎がしっかりとし
ていて「型」を身につけている。
読書も同じように「型」がある。たくさんの本を読破し、しかも、
それらの知識がしっかりと身についている人は、例外なく読書の
「型」を身につけているものなのだ。
★
「本を読んでも、なかなか頭に入らない」あるいは「けっこう本を
読んでいるつもりなのに、体系的に知識を積み重ねられない」とい
う人は少なくない。
そういう人は、多くの場合、正しい本を選んでいない。それが原因
で内容が身につかないのだ。本には読む順番があるのだ。その順番
を間違えて読んでいる人が多いのだ。
いきなりマルクスの『資本論』を読んでも、理解できる人はほとん
どいない。これが『資本論』の入門書や、新書などの解説本を読ん
だ後に読めば、理解できる。
そして、資本論がどんな内容か、何を目指して書かれているか、大
きな方向性、ベクトルがわかるのだ。難解な本は暗闇と同じで、い
きなり飛び込んでもポイントもわからず、読み進め方もわからない。
まずは、入門書などで用語の意味や本の主旨、大まかな構成などを
知っておくべきだ。一筋の明かりがあれば、それを目指して進んで
いくことができるのだ。
★
ガイドブック的な本を最初に読んで、頭の中に“知性の地図”を描
くことだ。どんな時代に、どんな人物が、どんな本を書いていたの
か。思想や文学の流れの中で、どんな位置にあったのか。
全体がわかる地図があれば迷うこともない。「この人の本をこれだ
け読んだから、次はこの人の本を読もう」という風に、興味のつな
がりの中で読書が広がり、知性の視野と地平も広がっていくのだ。
どこにどんな道があるかわからずに進むのと、大まかでも道がどの
ように走り、つながっているのかわかっているのとでは、進むスピ
ードは雲泥の差が出てく。思想哲学書に関しては、特にそうだ。
幸い、入門書、ガイド本はたくさん出ている。単行本でも各テーマ
で出ている。最近では漫画になっていて、より読みやすくまとめら
れている。自分に合ったものを大いに活用すべきだ。
★
これに対して、小説については少し違う。要約を読んでしまうと、
内容がわかってしまい、せっかくの面白さが半減してしまうからだ。
要約本は有効だが、小説に関しては一長一短ある。
まったく知らないと興味も湧かない。かといって結末まで知らされ
てしまえば興味を失ってしまう。何より、最後の結末を楽しみに読
み進めるのが、小説の醍醐味だ。
小説に関する良い要約や解説は、興味を持たせつつ、その先どうな
る?結末は?と思わせるものだ。文学に関してはストーリーより、
クライマックスシーンを抜粋して紹介する方が良いのだ。
文学のクライマックスシーンは、作家の渾身のものだ。そこに読者
は心を強く揺さぶられる。そのシーンの一部を知るだけでも、読ん
でみたいという気持ちを強く引き起こしてくれるはずだ。
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