今回は、もう年末年始の恒例となった回顧と展望をお送りします。
「2020年の回顧と2021年の展望」
世紀のパンデミックによって世界史的な転機をむかえた2020年は、多くに人々にとって大変な一年になったと想像します。しかし、いまから考えるとあまりにも不思議なくらいに、2020年は通常の年と同じようにスタートしました。2019年夏からのニューヨーク・コロンビア大学のイタリア高等研究所フェローの任期のために、僕は年末年始に一時帰国できなかったのですが、そのかわりに1月後半から3月初旬まで長めに日本に滞在することにしました。
一時帰国前の1月には、それまでとり組んでいたルネサンス期イタリアの医学者カルダーノの夢解釈についての研究から、ストア派を中心とする古代哲学の伝統における占いの位置づけをめぐる文献をいろいろと読んでいました。古代の伝統がルネサンス期にどういう影響を与えたのか、カルダーノを中心に跡づけられれば良い研究になると思いますが、もうすこし時間をかけて深掘りしないといけないでしょう。
つづいてアラビア魔術の伝統におけるカギとなる『ウシの書』と呼ばれる書物についての研究論文に触発されて、引きこまれるように『ウシの書』にまつわる研究文献を読みはじめました。こちらは、その後に大きな展開を迎えることになります。
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