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【Vol.359】冷泉彰彦のプリンストン通信

冷泉彰彦のプリンストン通信
「小池政局にダマされるな」  新年早々に再び「自民党政府が小池知事に振り回される」というドラマの 第2幕が上演されています。普通、芝居の第2幕というと、1幕からはかな り設定の異なる場面に移動して、それぞれのキャラも深化するものですが、 政治のドラマにはありがちなように、今回の第2幕は第1幕と似たような構 図になっているわけです。そこが何とも困った問題です。  小池知事の方法論は次の6点からできています。 1)本当は、知事権限で強制力発動をするのが筋だが、現在の法制ではでき ないし、制度改正しても地方には権限は来ないということは計算済み。従っ て、どう転んでも自分に100%責任が来ないというのが前提。 2)自分は今後、東京が高齢単身世帯中心のゾーンとなって、慢性的な財政 危機に陥るというような「近未来」については関知しない。だから、必要が あれば東京独自のバラマキは躊躇しない。 3)ゲームの基本は、イニシアティブとTVの放映時間で菅総理を圧倒する こと、その上で、自分が総理より危機感があり、真剣だというイメージを演 出するのが彼女のプレースタイル。 4)地方経済の疲弊は全く関心外。都知事だから東京ファースト。 5)国政野党が無能なのも計算済み。だから、菅政権が死に体になって任期 満了解散でもあれば、新党名で「一発勝負」に出れば政権が取れるかもとい う計算がある。では、そうした度胸とカネがあるかというと、実はないし、 前回の「希望の党」失敗で懲りているので、今回は「いつでも自民党に帰っ て清和会を乗っ取らせていただきます」というプレッシャーをかけているだ け。 6)ファッショナブル作業服とか、「外出は短時間」とか、いちいちフリッ プ持って「アラート」なんとか、とか、要するにテレ東さんのノリで都市型 の感情論煽っているだけ。  とにかく最大の問題は、仮に国政復帰したところで、カーボンゼロと原発 再稼働、日米中の三極外交、生産性向上などといった国家戦略については、 「何の信念も方法論もない」ことだと思います。  もっと言えば、小池さんにしても「国政レベル」で「経済と対策のバラン ス」を捨てて、自分の口がペラペラしゃべっているように、そしてそのよう に世論を煽っているように「対策の方にシフト」して、その分、「幅広く支 援金を出す」という度胸はないのだと思います。(以下略)

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  • アメリカ北東部のプリンストンからの「定点観測」です。テーマは2つ、 「アメリカでの文脈」をお伝えする。 「日本を少し離れて」見つめる。 この2つを内に秘めながら、政治経済からエンタメ、スポーツ、コミュニケーション論まで多角的な情報をお届けします。 定点観測を名乗る以上、できるだけブレのないディスカッションを続けていきたいと考えます。そのためにも、私に質問のある方はメルマガに記載のアドレスにご返信ください。メルマガ内公開でお答えしてゆきます。但し、必ずしも全ての質問に答えられるわけではありませんのでご了承ください。
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