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週刊 Life is Beautiful 2021年1月12日号

週刊 Life is beautiful
今週のざっくばらん 米国で起こっているカオス 日本でも報道されているようですが、先週の米国は、まるで民主主義の先頭を走る国とは思えないような状況でした。左翼・右翼メディアからかなり偏った報道がされているため、陰謀説も多く飛び交い、事実と意見を切り分けることすら難しい状況です。 そこで私なりに、事実だけを抜き出して、主なイベントを時系列順に書いてみます。まずは選挙前の状況から。大統領選前の世論調査では、民主党候補のバイデン氏が有利とされていたそのころから、共和党候補のトランプ氏は「民主党が選挙で不正をする可能性がある」と発言をし始めた多くの州が、郵便による期日前投票を導入したが、これによりバイデン氏が有利になるだろうことは、十分に予想出来た。期日前投票の開票は、投票所での開票よりも後に行われるため、最初はトランプ氏がリードしながらも、期日前投票が開票されるとバイデン氏が逆転するケースが多く見られると予想出来た。 つまり、選挙前からかなり「きな臭い匂い」がしていたのです。左翼系メディアは、「トランプ氏は、自分が選挙に負けるだろうことを知っており、その時にいちゃもんをつけるために、不正選挙の可能性をほのめかしているのだ」と批判していました。 実際に選挙の当日が来て、開票が始まると、以下のようなことが起こりました。もともと、どちらかの党が有利だと知られていた州の結果は予想通りに決まり、際どい戦いになるだろうとされていたいくつかの州での結果がなかなか出ない状況になったその時点では、トランプ氏とバイデン氏が獲得したポイントはほぼ同じで、どちらが勝っても不思議はないように見えた。際どい戦いになった州の多くで、事前に予想された通り、最初はトランプ氏がリードしていたものの、期日前投票の開票が進むとバイデン氏が逆転するという現象が起きた。その現象を見たトランプ氏は、「不正選挙が行われている」と激しく非難した。いくつかの州で、トランプ支持者が開票所に押しかけて、開票を妨害しようと試みたが、失敗に終わった結果的にはバイデン氏の圧勝に終わった。 この選挙結果をトランプ氏は認めず、以下のようなことが起こりました。トランプ氏が、敗北の原因は各州での不正選挙にあり、それと戦うための資金が必要だと資金集めを開始集まったお金を使い(それだけで十分だったかは不明)、10個以上の州で訴訟を起こし、さらに、票の数え直しを要求。いずれのケースでも、裁判所が「訴訟そのものに意味がない」と訴訟を却下。票の数え直しは行われたが、結果は同じ。それらの結果を見ても、トランプ氏は敗北を認めず、不正選挙が行われたことを主張し続ける。 1月6日は、議会が選挙結果に基づいて次の大統領を指名する日ですが、その日が近づくに従い、以下のようなことが起こりました。それまでトランプをサポートしていた共和党議員の多くが「素直に負けを認めるべき」「根拠のない不正選挙疑惑を語り続けることは米国の民主主義にとって良くない」と言い始める。とは言え、一部の共和党議員はトランプ氏に賛同し、1月6日には選挙の結果に異議申し立てをすると宣言トランプ陣営からは、上院の議長であるペンス副大統領が、いくつかの州での選挙結果を無効と宣言することにより、トランプ氏を勝利させることが可能と言う意見が出る。ペンス副大統領は、これらの意見に対し「バイデン氏の勝利は明らかであり、それをひっくり返すことは出来ない」と宣言。トランプ大統領は、そんなペンス副大統領を「腰抜け」と批判。そんな時に、トランプ大統領がジョージア州に対して選挙結果を変えるように圧力をかけたことが音声の録音とともに公開される。左翼メディアは、一斉に「違法行為」と批判。 1月6日に当日になると、混乱はピークを迎えます。トランプ大統領のよびかけに答えて、数多くのトランプ支持者たちがワシントンD.C.に集結。彼らに向けて、トランプ大統領が「不正な選挙により民主主義がないがしろにされようとしている。議事堂までデモ行進をして、これを阻止しなければならない」と演説。これを受けて、サポーターたちが議事堂に向けて行進。議事堂では、両院の議員が参加する議会で、各州の結果の発表が行われ始めますが、共和党の一部の議員の異議申し立てにより、通常であれば30分で終わる「儀式」が長時間のディベートに突入。議事堂に到着したサポーターたちが、地元の警察が作ったバリケードを突破して議事堂内に乱入議会はストップし、議員たちは一時退避議事堂内に乱入したサポーターたちは、下院議長のナンシー・ペロシ氏(民主党)のオフィスなどで破壊活動を行う。この暴動は、最終的には鎮圧されるが、サポーター側、警察側の双方に死者が生じる事態となる。夜になって議会は再開され、バイデン氏が正式に次期大統領として任命される。 この結果に対して、トランプ氏は、サポーターに向けてTwitterなどを使ってサポーターに向けて「戦いはこれからだ」と宣言をしますが、ここから事態はさらに急展開します。Twitter がトランプ氏のアカウントを閉鎖Facebook がトランプ氏のアカウントを閉鎖Shopify がトランプグッズを販売するサイトを閉鎖これに対して、右翼メディアが「表現の自由の侵害」と批判トランプ氏が他の人のアカウントを使って発言、しかし、それらも閉鎖されるサポーターたちの会話が(Twitter クローンの)Parler に移動AppleとGoogleが Parler アプリの配信を停止、Amazon もこれに同調。 現職の大統領のアカウント閉鎖に関しては、これまで Twitter も Facebook も「政治に関与しない」という立場から遠慮していましたが、トランプ大統領の過去の規約違反から、大統領の任期が終了次第閉鎖するだろうことは十分に予想出来ました。 今回、閉鎖に踏み切ったのは、サポーターたちの暴動を演説により扇動したから、というのが彼らの言い分です。左翼側のメディアは「暴動を扇動したのだから当然」と評価していますが、右翼側メディアは「GAFAによる検閲であり、表現の自由の侵害だ」と批判しています。 トランプ氏の任期は後10日ほどしか残っていませんが、その間に何をするか分からないと心配する人は多く、下院議長のナンシー・ペロシ氏は、「大統領が自暴自棄になって(イランなどに向けて)核攻撃を開始する可能性すらある」と主張し、大統領の権限を奪おうと試みていますが、ペンス副大統領、もしくは、共和党議員の協力が必要であり、簡単ではありません。 トランプ氏は、大統領という地位のために、通常の訴訟からは免除されていますが、大統領の地位を失った後には、脱税や汚職疑惑で数多くの訴訟にさらされることが目に見えており、それを避けるためなら核戦争でも始めかねないと心配しているのです。 後、10日ほどしかありませんが何が起こっても不思議はない状況です。最悪の事態(核戦争の勃発)だけはなんとしてでも避けて欲しいと願っています。 ゲーム業界の未来 少し前に、Twitter で「新しくポートフォリオに加えた中ではUnityが一番の優等生。『ゴールドラッシュ時に、確実に儲けるのはシャベルを売る会社』の典型的な例。これは長期保有銘柄。」とつぶやいたところ理解出来ない人が多かったようなので解説します。 ゲーム業界がもっとも分かりやすい例ですが、ゲーム会社の業績は、ゲームがヒットするかどうかに関わっているため、予想がとても難しいのです。それまでどんなに成功していた会社でも、新しく作ったゲームがヒットする保証はなく、どうしても「莫大な開発費をかけて大ヒットを狙う」という、ハイリスク・ハイリターンなビジネスになってしまうのです。 そんな事情もあり、私自身はこれまでゲーム業界に投資をして来ませんでした。唯一の例外は、スクエア・エニックスですが、これは私の会社が2004年に買収された時に、買収金額の一部を使って購入せざるを得ない状況に追い込まれたためで(買収交渉の最終段階で、エニックスの創業者の福嶋康博さんとの会食があり、その場で、当時株を売りたがっていたスクエアの某大株主から場外で株を買うことを約束させられました)、会社と縁がなくなった時点(2007年)ですべて売却してしまいました。 そうは言っても、ゲーム業界の伸び代はまだまだあり、今後、この業界が「eSports 業界」として大きく飛躍することが確実なことを考えると、なんらかの形でゲーム業界に投資をしたいとは考えていました。

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