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【痛くない死に方 2021年第2号】医療崩壊とトリアージ(命の選別)について今こそ考えよう

長尾和宏の「痛くない死に方」
  • 2021/01/15
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2021年 第 2号 【長尾和宏の「痛くない死に方」】 こんばんは。長尾和宏です。 もう、正月の景色が遠い彼方に思える。 年が明けて、2週間が経過したが、とにかく今僕は疲弊しきっている。あまり眠れていない。 コロナ陽性者が急増するなか、全国の保健所はもはや、機能不全である。保健所での入院調整 が叶わずに、この2週間で一体何人の人が命を落としていることだろうか。 かといって、保健所の人たちを責める気にはなれない。保健所は今まで、感染症対応などほと んど未経験な状態であったわけでし、それがいきなり2類指定で、全権限を持たされたところ で、誰も正しいジャッジが行えるはずなどないのだ。彼も必死のパッチだ。しかし彼らの医療 的知識も、経験も、人員も、圧倒的になさすぎる――。そのあおりを今、僕たちが受けている。 昨年末に50代の若さで亡くなられた国会議員の羽田雄一郎さんだってクリスマスイブに37度 を超える発熱があり、一般市民と同様に、保健所に連絡している。しかし保健所は、37度台な らばたいした熱ではないから、とPCR検査はできない、と断っている。考えてみてほしい。 普通なら、国会議員など、VIP中のVIPであり、あらゆる行列に横入りをして、優先的に待遇 してもらえる立場にあるはずだ。しかも彼は、元総理大臣の息子である……そんな国の要人で さえも、保健所は、断らざるを得ないくりに、医療はひっ迫しているのだ。 コロナがインフルエンザと大きく違うところは、熱が上がったり下がったりを繰り返す場合が あるということ。そして翌日のクリスマス。熱が下がった羽田議員は、家族だんらんの時間を 過ごした。26日には妻の誕生日のお祝いもした。しかし翌27日、再び発熱。やはりPCR検査 をしようと、自力で東大病院に向かう途中、秘書が運転する車の後部座席で絶命をした。 「保健所ガンバレ」とか、もはやそういう次元の話ではないのである。 保健所が対応できずに死んでいった人たちは、もはや、「人災」であると僕は思う。 もしも、僕がずっと言い続けているように、コロナを感染症指定「2類→5類」へ下げていたら かかりつけ医が対応できて、羽田さんだって死なずに済んだはずなのだ。

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