「ワクチン大臣設置、厚労省の迷走の背景に何があるのか?」
菅内閣は、ワクチン担当大臣に河野太郎規制改革担当相の兼務を指名した
ようです。これに対しては、どうして田村厚労大臣が担当しないのかという
疑問の声が上がっているわけですが、確かに不自然であるのは事実です。
ですが、ワクチンに関しては、日本の場合は「どんなに救命効果があって
も、副反応による被害者サイドは絶対に受け入れず、被害者の正義を振りか
ざしてワクチンを潰す」という伝統があるわけです。勿論、悪いのは被害者
ではありません。「被害者の正義」に乗っかるメディアと、攻撃されるとサ
ッサと逃げ出す当局に責任があるわけです。
今度という今度は、そのパターンを踏むと大変なことになります。ですか
ら、メディアが暗躍して、世論が闇の方へ誘導されて、当局がビビって腰砕
けになる前に、太郎さん的なスピードで、ワクチン接種率を巡航速度まで持
って行こうというのは理解できます。
そもそも菅内閣のワクチン戦略は、認可を先送りして英米に先行させると
いう作戦でした。まず数百万あるいは数千万の単位で治験をしてもらい、そ
れどころかポジティブな集団免疫効果についても顕在化した後で、国内での
認可をすればメディアの攻撃もかわせるし、何よりも接種率をマックスに持
って行ける、そう考えていたのだと思います。
ただ、ここへ来て感染拡大が大変な状況となり、医師も看護師も、そして
医療関係の施設も日本型組織が苦手としている「臨機応変で柔軟な」対応を
余儀なくされています。そこへ更に負荷をかけるものとして、ワクチンの大
量/迅速接種をアレンジさせるのは大変というのは分かります。
もう厚労省の正規の指揮命令系統を動かしていては、五輪など全く見通し
が立たなくなるわけで、そこを太郎さん型の強行突破で行こうということだ
と思います。
ですから、現実的でしかも緊急避難的な判断としては、分からないではあ
りません。ついでに河野流のサイエンス情報公開を使って、副反応への懸念
をメディアが煽るのも抑えてもらえればということなら、余計に納得感はあ
るわけです。
そうではあるのですが、そもそも新型コロナの感染拡大が始まって以来の
「迷走」を振り返るのであれば、そう簡単に「緊急避難的に行けばいい」と
は言えないものがあるのです。
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