存在感を増す「軍事大国ロシア」を軍事アナリスト小泉悠とともに読み解くメールマガジンをお届けします。
【目次】
●インサイト ナヴァリヌィはプーチンの「終わりの始まり」になるか
●今週のニュース ゲラシモフ参謀総長がついに引退?ほか
●NEW CLIPS 「プーチン宮殿」ほか
●NEW BOOKS 服部倫卓「「ナワリヌイの乱」は、プーチン・ロシアを崩壊させるのか」ほか
●編集後記 中毒性
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【インサイト】ナヴァリヌィはプーチンの「終わりの始まり」になるか
鮮やかな逮捕劇
昨年8月以降のベラルーシ(
https://note.com/cccp1917/n/nbe7b61fb563b?magazine_key=m59addce99619)に続き、今年はロシアでも内政が荒れだしました。
猛毒のノヴィチョクを盛られ、ドイツの病院で療養していた反体制活動家のアレクセイ・ナヴァリヌィ氏が1月17日、当局の警告を押し切って帰国したのがそのきっかけです。
同氏が乗った飛行機は当初、モスクワ郊外のシェレメチェヴォ空港に着陸することになっており、空港では支持者たちが警察とともに待ち受けていたのですが、ここでロシア政府側がフェイントを掛けました。着陸空港を急遽ブヌコヴォに変更し、ここで孤立無援のナヴァリヌィを逮捕してしまうという作戦です。
さらに当局はナヴァリヌィ氏の連行先であるヒムキの警察署内に臨時裁判所を設置し、ここで同氏を30日間勾留するとの決定がなされました。現在、ナヴァリヌィ氏は政治犯用の特別拘置所があるマトロスナヤ・ティシーナ拘置所に入れられていると見られています。
ことの是非は措いて極めて鮮やかな手際であり、「ドイツでおとなしくしていればいいものを、帰ってきたらただじゃおかんぞ」という政権の凄みみたいなものを感じないでもないですね。
ナヴァリヌィの反撃
ただ、ロシアに帰国すれば拘束される、というところまではナヴァリヌィの計算に最初から入っていたと思われます。もちろん、捕まるだけでなく命の危険もあるわけですが、自分が体を張ることで大きな反プーチンのうねりをロシアで起こせる---というのがナヴァリヌィの狙いだったのではないでしょうか。
そして、この狙いはある程度成功したように見えます。
ナヴァリヌィ氏が拘束されてから最初の週末となった23日、ナヴァリヌィ陣営の呼びかけに応じて大規模なデモがロシア全土で発生しました。この辺は日本のメディアでも大々的に報じられている通りですが、デモはロシア全土の100都市以上に及び、最も規模が大きなモスクワでは4万人以上が参加したとされています。
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