公明党の「将来の代表候補」と嘱望されていた遠山清彦衆議院議員が2月1日、衆議院議長あてに辞職願を提出した。 次期総選挙への出馬も否定し、政界からの引退を明言した。
国会議員にとって一番つらい決断は議員辞職である。 私自身も将来の復帰に向けて衆議院議員辞職という決断を迫られた経験があるので、遠山氏の苦衷は理解できる。 遠山氏は政界からの引退も表明させられたので、私以上に無念だったろう。
ご存じのように、公明党はスキャンダルに厳しい政党だ。
遠山氏と同じく銀座のクラブに通っていた自民党の衆議院議員3人について、自民党は「離党勧告」で決着させた。 離党は将来的に選挙区で勝ち上がった場合には復党できる含みを持たせる措置で、首の皮一枚ではあるが、復活の可能性を残している。
当初は公明党も遠山氏を「厳重注意」で済ませていた。 自民党にも同様のスキャンダルがあったため、自民党側に配慮して軽い処分で済ませていたのだ。
しかし、遠山氏の政治団体がキャバクラへ出費していたことが明るみになり、役職辞任に追い込まれた。 さらに自民党の議員も役職辞任処分となったことで、公明党内では、自民党議員と同じ処分では「公明党も自民党と同じだ」と世論から攻撃されることを懸念し、遠山氏に腹を切らせる結果となった。
もちろん、遠山氏を辞職させるに至った最大の理由は公明党の支持母体である創価学会会員からの厳しい指摘があったことは言うまでもない。
作家の佐藤優さんが上梓した『池田大作研究』は、創価学会と公明党の関係を考えるうえで非常に参考になる。 佐藤さんは「キリスト教は当初、ユダヤ教から迫害されていたが、キリスト教が世界中で国教となった」ということを踏まえ、「戦前の弾圧から巨大教団に発展した創価学会が応援する公明党が与党化するのは必然だ」と説いている。
自民党と公明党の協力関係は20年に及んでいる。 公明党はこの間、自民党と連立政権を組むことで創価学会会員からの要望を実現させていった。 例えば麻生政権下の定額給付金、そしてコロナ禍での10万円給付実現だ。 低所得者や零細企業者の創価学会員は与党にいるメリットを感じている。
しかし、一方で、平和の党を旗印にしている公明党が自民党化しつつあることを懸念する創価学会員も多い。 実際、遠山氏は憲法改正に熱心で日本会議の会議にも出席するなど、かつての公明党議員とはかけ離れたイメージを持つ。
つまり、創価学会員は、与党であるメリットを感じつつも、現実政治を進める上である程度は「灰色のもの」を飲み込んでいる公明党議員に違和感を……
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