米長期金利上昇がもたらすもの
「米国長期金利が40年ぶりの上昇転換か」
米国の歴史では長期金利が平均すると約30年の上昇と30年の低下を繰り返してきました。最近では1981年をピークに、その後40年にわたって金利低下を続けてきました。それが昨年を底に、新たな上昇トレンドに入った可能性があります。その流れを受けて、日本の長期金利も上昇気味となり、日銀は10年国債の管理レンジをゼロ・プラスマイナス0.2%から0.3%に拡大を検討しています。
米国10年国債の利回りは昨年夏に0.5%まで低下した後、反転上昇を見せています。特にバイデン政権が誕生し、積極財政が提示されて以降、金利が一段高となっています。先週金曜日には一時1.188%まで上昇しています。これまでも何度か「反転か?」と思われる場面はありましたが、低インフレとFRBの金融緩和で金利上昇が抑えられました。
しかし、今回は上昇が続きそうな要素が少なくとも2つあります。1つはインフレ率と相関性の高い「単位労働コスト(ULC)」が上昇していることです。昨年10-12月期の労働生産性が前期比年率で4.8%低下したこともありますが、ULCは前期比6.8%、前年比でも5.2%上昇しています。よほど需要が弱くない限り、企業は価格転嫁してインフレ率が高まり、金利上昇要因となります。
その点、もう1つの要素として新政権が積極財政政策を打ち出し、すでに1兆9千億ドルもの大規模な追加コロナ支援策を提示しました。FRB幹部もコロナ支援策としては、金融政策には限界があり、当面は積極財政が必要、との姿勢を見せています。政策の姿勢がこれまでとは大きく変わり、財政赤字の大幅拡大と、ワクチン普及による景気回復期待とがダブルで効いている分、長期金利の上昇エネルギーが大きくなります。
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