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第150回 出版とブロックチェーン その1

ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン
…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━… 第150回 出版とブロックチェーン その1 …━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━… ▼今回の記事 今回は、出版におけるブロックチェーン導入の概要を解説する。やはりこの分野でもブロックチェーンが革命的な変化をもたらしつつあるようだ。 ▼出版業界の苦境とブロックチェーン 日本のみならず、活字離れは先進国全般で見られる傾向になっている。書籍の売上は停滞しており、経営が厳しくなる企業が多い。特にこの状況は、日本の特殊なシステムも背景となり、厳しさを増す方向に動いている。 日本独自のシステムとは再販制度のことである。日本には「日販」や「東販」という大手の取り次ぎ会社がある。これらの企業は、出版社が出版した書籍を書店に取り次ぐのが業務の中心だ。取り次ぎ会社を通すと、全国の書店のネットワークで書籍が販売されるので、出版社にはなくてはならない会社である。 一方、こうした取次会社の存在が出版不況を一層加速させる背景にもなるという皮肉な現状もある。取次会社が出版社から本を取り次ぐとき、取次会社は初版の部数すべてを一旦買い取ってくれる。取り次ぎ会社からの支払いは、特に経営基盤の弱い中小の出版社にとっては、経営を支えるための最重要の基盤だ。この支払いを元に経営が維持されている。 しかし、もし書籍が売れ残った場合、出版社は取り次ぎ会社に返金することが原則になっている。相当数売れ残る書籍も多いので、返金は特に中小の出版社の経営を圧迫する要因となる。そこで出版社は経営難を脱するために、新しい書籍を次々と出版して、とりあえず取り次ぎ会社に卸し、その支払金で経営を継続させている。 これはまさに自転車操業である。このサイクルの結果、売れると売れないにかかわらず、特に中小の出版社は新館本の出版を余儀無くされる。その結果、書店にはあまりクオリティーの高くはない本が溢れ、それらの多くが売れ残ってしまう。この状況がさらに客を書店から遠ざけ、出版不況を悪化させている。しかし、このような状況にあっても、特に中小の出版社が経営を継続するためには、新館本を出し続けなければならない。 ●プラットフォームが儲ける電子書籍 このような出版不況の救世主になるかと思われたのが、電子書籍であった。これには取り次ぎ会社の存在は不要で、ダウンロードされた部数によって支払われるシステムだ。また印刷や輸送の費用もまったく不要なので、出版のコストはほとんどかからない。ヒット作が出なくても、出版コストがほとんどかからないので、ある程度のダウンロード数があれば確実に利益になると期待された。中小の出版社にとっては、困難な経営状況を脱することのできる切り札になるとも思われた。 しかし、現実はそうならなかった。電子書籍をダウンロードするためには、たとえばアマゾンのようなプラットフォームが必要になる。出版社はそうしたプラットフォームを利用しないと、電子書籍を出すことは難しい。すると、販売された電子書籍の利益のほとんどはプラットフォーム企業に持って行かれ、出版社にはあまり利益にならないことが判明した。電子書籍のダウンロードは、出版社の経営危機を救うことにはならなかった。多くの中小の出版社では、いまでも経営危機は続いている。 ●新しい波、ブロックチェーンの導入 こうした状況を脱するための新しいテクノロジーとして期待されているのが、ブロックチェーンの導入だ。これによって、出版業界は大きく変化るのではないかとも指摘されている。以下がブロックチェーン導入の利点だ。 1)新しいプラットフォームの形成

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  • ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン
  • 昨年から今年にかけて仮想通貨の高騰に私たちは熱狂しました。しかしいま、各国の規制の強化が背景となり、仮想通貨の相場は下落しています。仮想通貨の将来性に否定的な意見が多くなっています。しかしいま、ブロックチェーンのテクノロジーを基礎にした第四次産業革命が起こりつつあります。こうした支店から仮想通貨を見ると、これから有望なコインが見えてきます。毎月、ブロックチェーンが適用される分野を毎回紹介します。
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