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伏木悦郎のメルマガ『クルマの心』
第417号2021.2.9配信分
●100年前に思いを馳せてみる
COVID-19パンデミック禍に世界中が停滞を余儀なくされている。しかし、と
言うべきだろう。それでも地球は回っていて、日々の暮らしは淡々と続いてい
る。人々の意識は一年前には想像だにしない事態に戸惑い、大きく変化した。
私に生身の身体が変った実感はないが、何か社会が大きく動く予感がある。
今から100年前を生きた人々に思いを寄せる時、彼らの心境は如何ばかりだ
ったかと気になる。20世紀が19世紀とはまったく異なる時代になる感触は、現
代の時間軸に置き換えてみるとさぞかし強烈だったと想像できる。
1921年から見た1868年は2021年から見た1968年に重なる。1868年は日本では
徳川幕府260年の歴史が幕を閉じた明治維新であり、1921年は明治の45年間を
過ぎた大正10年となる。日清(1894~1895年)・日露(1904~1905年)の大国
相手の戦争に勝利した後、第一次世界大戦(1914~1918年)は日英同盟の枠組
みから連合国に列し、中国大陸において対独戦勝利に貢献した。
文明開化から殖産興業/富国強兵路線を突き進み、世紀末から新世紀にかけ
ては連戦連勝でやって来たところで、世界を襲った”スペイン風邪”パンデミ
ックの洗礼を受ける。現代のように情報が瞬時に伝わる通信手段もなく、医療
へのテクノロジーの関与が不十分な時代である。
人間にとって未知以上の恐怖はないが、見えざるウィルス感染の知見を欠い
た時代。人々は今以上に恐れおののき苦しんだに違いない。当時の地球総人口
は現在(約76億人)の4分の1強の20億人ほどだが、パンデミックによる死者
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