■7つの極意
生き残ることが重みを増す時代だ。そんな時代には、人や情報の真
偽や意味を見抜く力、必要以上にびびらないこと、騙されないこと
が重要だ。
人や情報が誰かを騙す時、意図的であるとは限らない。たとえば、
国やマスメディアが国民を騙す時がそうだ。今回の新型コロナウイ
ルスの各国の対応が正にこれにあたる。
大国の指導者たちでさえ、当初は新型コロナウイルスの感染拡大を
見抜けず、事態を楽観視していた。その後は、危機から脱しようと
して躍起になり、無意識に国民を騙してしまうケースが出てきた。
日本では、布マスクを1人に2枚配布した。ある意味、国民を騙す
ような政策だった。だが、あの時、政府は「マスクさえ配れば、国
民の不安はなくなる」と本気で考えていたのだ。
今になれば、多額の税金を投入して、とてつもなくバカげたことを
やったことがかわかる。だが、そこには悪意はなかったのだ。混乱
の中では、意図せずに人を騙せるし、騙されてしまうものなのだ。
★
日常的に新聞を読んだり、ニュースを見たりしていれば、断片的に
情報を得ることはできる。だが、データを集積するだけでは、ノイ
ズは増える一方だ。
ノイズとインフォメーションを仕分け、インフォメーションをイン
テリジェンスに磨き上げていく「見抜く力」が必要だ。それは事実
を拾い上げて選り分け、点と線を繋げ、物語を構成する力だ。
人の本質を見抜く際にも、相手の発言そのものだけでなく、相手の
利害関心や、表情、服装、持ち物や口癖などから、その人物の本質
や意図をあぶり出す必要がある。
生存が関われば、人の感覚や神経は研ぎ澄まされる。だから、テク
ノロジーが発達するのは戦争だ。敵に負けないように必死に技術開
発するから斬新な発想が出るし、思いつきを形にする努力もできる。
感覚や神経が研ぎ澄まされる時には、いい訓練ができるものだ。厳
しい状況を生き抜かなければならない今だからこそ、見抜く力を研
ぎ澄ますには絶好のチャンスと言えるのだ。
★
危機の時代を生き抜くためにも、まず大切なのが、人を見抜く力だ。
極意を紹介すると、まず攻撃的な人の本音を見抜くことが重要だ。
攻撃的な人には、2つのタイプがある。
「瞬間湯沸かし器型の人」と「戦略的観点に立つ人」だ。前者は、
脳内分泌に問題を抱えている人だから気にしなくていい。情緒不安
定な人は、ビジネスの現場からは淘汰されていくものだ。
問題は、戦略的に怒鳴る人だ。力のない人が怒鳴っても、誰も言う
ことを聞かない。議論では負けても、自分の意見を押し付けられる
力が自分にあると自覚する人が、議論を省くために怒鳴るのだ。
力を背景に攻撃的な態度に出る人と接する時は、相手の利害関心や、
目指している利益は何かを見抜くようにする。そして、こちらは絶
対感情的にならず、冷徹であることだ。
★
相手の情報が正しいかどうかを見抜くことも大事だ。外交では、独
自情報がもたらされた時、その真偽を確かめるために情報の周辺に
ついて探りを入れる。
物事は、事実、認識、評価を分けて考えるべきだ。事実に関しては、
立場が違う人でも必ず一致する。もし、事実の部分が誤っていたり、
意図的に捻じ曲げられていれば話自体が危ない。
偽りの情報を判別するなら、細部の綻びを見抜くことだ。たとえば、
不十分な「偽の履歴」しか持たない人には体験と記憶がないものだ。
こうした細部の綻びを見逃さないことがプロの手腕だ。
相手がどんな価値観の持ち主かを確かめなければ、提案が将来性の
あるものか、利益をもたらすものか見抜けない。信用できない相手
の話にうっかり乗れば、どんな結果が待っているかわからないのだ。
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