■小さなことにくよくよしない方法
人は何でも引き受けてしまう習性がある。頼まれたら「ノー」と言
えない性格が原因だ。仕事でも、家庭でも、友人の集まりでも、新
しい企画をどんどん引き受けてしまう。
こうして「やらなければならないことリスト」は際限なく膨れ上が
る。いつまでたっても片付くことはない。そして、ほとんどの場合、
「人助けをしている」「貢献している」と自分を正当化する。
これでは「やらなければならないことリスト」に押しつぶされてし
まう。これを避けるには、リストをこれ以上、増やさないことだ。
「ここまで」という限界を決めて、ノーと言えるようにするのだ。
だが、これは決して簡単なことではない。頼まれごとをいくつか断
って、生活を立て直すには「いつ、何をやるか」を判断する勇気と
知恵を身につける必要があるのだ。
★
ここで「勇気」という言葉を使ったのは、自分を頼りにしている人
を失望させることは、なかなかつらいものだからだ。だが、多くの
場合、つらい思いをする価値はある。
理由は、理想的なペースで仕事をしていると、自分の能力を最高に
発揮できるからだ。そして、より周りの役に立てるからだ。心に余
裕があるために、愛情に溢れ、楽しくやることができる。
逆に、やるべきことを抱え込みすぎると、すべてが崩れる。大切な
ことを見過ごし、ミスを犯し、焦り、苛立ち、何もかもうまくいか
なくなってしまう。
それに、一度何かを引き受けると、一度きりではすまないことが多
い。何をやめるかは、自分が決めることだ。止められないこともあ
る。止めることなど考えることすらできないということさえある。
であれば、それを除いたものを止めればいい。「やめる」というと
何かを捨てるように聞こえるが、実際は得るもののほうが大きい。
失っていた時間と、まともな生活が取り戻せるのだ。
★
人を不快にさせる人のほうが、記憶に残るものだ。そして、95%を占
める、善良で思いやりにあふれた、有能で、公正な人たちのことは
忘れてしまうのだ。
今日一日を振り返り、一人ひとりを振り返ってみることだ。きっと
タチの悪い不心得者はごくわずかなはずだ。大部分は心優しい親切
な人たちだったはずだ。
人は、一日何十人もの人間と接する。そのうちの95%の人たちは、
そこそこ礼儀正しく、親切で、有能なのだ。彼らに傷つけられるこ
ともめったにないのだ。
人を不快にさせる人の言葉を重く受け止めるべきではない。そんな
人たちのために気を遣ったり、時間を割いたり、彼らの言動に悩ん
だりする必要はない。そんなことにパワーを奪われるべきではない。
彼らは、人の注意を引き、それをエサにしているのだ。だから「こ
いつはダメだ」と思ったら、注意を払うべきではない。「またか」
と思ってにっこり笑えばいいのだ。
不心得者に遭遇したら、心乱され、苛立つべきではない。「ほとん
どの人はいい人だ」ということを思い出すきっかけにすべきだ。こ
れこそ、ネガティブ・パワーをボジティブに変換する方法なのだ。
★
見栄などかなぐり捨てるべきだ。恋人や家族、友人の意見に、素直
に耳を傾けることだ。自分の弱点を克服する方法は、自分で見つけ
るより、人に見つけてもらうほうがずっと簡単だからだ。
皮肉なことに、世界で最も自分を理解してくれている人と、最も意
見されたくない人は、実は同一人物だ。だから、アドバイスするよ
り、アドバイスに耳を傾けるほうがずっと難しいのだ。
恋人や家族、友人のアドバイスがいつも的を射ていると言うつもり
はない。タイミングや言い方を考えてほしいと思うこともある。そ
れでも、すばらしいアドバイスをくれることは、間違いないのだ。
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