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【Vol.366】冷泉彰彦のプリンストン通信

冷泉彰彦のプリンストン通信
「どうにもおかしい、五輪実行委騒動」  オリパラ実行委員会の会長人事の話が延々と話題になっていました。ジェ ンダー論は大事ですが、今回の騒動の最重要項目ではないと思います。議員 との兼務がどうかなどという問題も瑣末な話です。  そうではなくて、実行委員会の人事を考えるのであれば、とにかく「オリ ・パラを開催するのか、中止するのか」という問題、そしてそのどちらにし ても「追加の予算など国民の負担がどのくらい必要なのか」を明確にするこ とが重要です。  にもかかわらず、この間ずっと「差別」の問題と「スキャンダル」で3週 間近くを浪費しています。これだけの時間があったら、国民の納得のいくよ うな「開催か中止か」の論議、そして「追加の負担」がどうなるかの精査は できたように思うのです。  もしかしたら、そんなことを真面目に心配するのはバカみたいなのであっ て、日本の世論は既に2つの最悪のシナリオを理解しているのかもしれませ ん。  オリ・パラに関わる具体的な問題ではなく、森喜朗氏と橋本聖子氏などに 関するジェンダー論とスキャンダルの報道をメディアは流し、世論もそれに 関心を示すフリに「徹していた」というのは、その2つのシナリオを理解し てのことだったのかも、そんな印象もあります。  1つは、森、橋本に代表される現在の「オリパラ実施体制」のグループは、 様々な「闇」を抱えているというシナリオです。例えば、ここまで公表され ている費用の他に、施設建設費にもっとカネがかかっているとか、代理店や 代行業者から巨額のツケが回ってくるとかいう可能性です。  更には、仮に中止となった場合に、日本側の責任ではないにも関わらず巨 額の欠損を押し付けられるとか、あるいは招致活動に関する疑惑は当時の竹 田氏の辞任などでは済まない悪質で大規模なものだったとか、とにかく様々 な「闇」を抱えており、だからこそ「自分たちのグループ内」で人事をたら い回しにしたいし、その「闇」をメディアや世論が突っついて来るのは嫌う、 そんなシナリオです。  ですが、私はこの「闇」シナリオは必ずしも当たっていないのかもしれな い、そんな感触を持っています。  そうではなくて、第2のシナリオとしては、「誰も決められないし、誰も 全体像をつかんでいない」というストーリーです。  誰かが悪意を持って私腹を肥やしていたり、とんでもないスキャンダルを 隠していたりするのではなく、そもそも必要な情報をつかんで集約している ポジションが「ない」というシナリオです。(以下略)

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  • アメリカ北東部のプリンストンからの「定点観測」です。テーマは2つ、 「アメリカでの文脈」をお伝えする。 「日本を少し離れて」見つめる。 この2つを内に秘めながら、政治経済からエンタメ、スポーツ、コミュニケーション論まで多角的な情報をお届けします。 定点観測を名乗る以上、できるだけブレのないディスカッションを続けていきたいと考えます。そのためにも、私に質問のある方はメルマガに記載のアドレスにご返信ください。メルマガ内公開でお答えしてゆきます。但し、必ずしも全ての質問に答えられるわけではありませんのでご了承ください。
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