■本の読み方
読書家に貧乏な人はいない。お金があるから買うのではない。若く
てまだ名もなく、貧しいころから、彼らはなけなしのお金で本を買
って読んでいるのだ。
本を読み続けると、知識が知恵に進化する。知識は断片だが、知恵
は知識の掛け算だ。複数の知識が化学反応を起こして別の光を生み
出す。「こんな角度からも光が当てられる」というのが知恵なのだ。
知恵がある人は周囲に快感を与える。だから、その見返りに地位が
与えられ、お金も集まってくる。ダラダラと会社にこもって残業し
ているより、本を読んだほうが出世もできるし給料も増える。
著者も編集者も自分たちの人生を総動員して、経験と知恵のすべて
を注ぎ込んでいる。新しいことに挑む時、読書せずに挑むのと、た
っぷり読書してから挑むのとでは、結果は雲泥の差となるはずだ。
★
本には上下関係がない。小説とビジネス書の境目には意味がない。
自分の人生の主人公として、のびのびと自由に生きていくには、小
説からもビジネス書からもより多く気づいていくことだ。
優れた小説は、優れたビジネス書であり、優れたビジネス書は優れ
た小説だ。シェイクスピアの小説にはビジネスのヒントがたくさん
詰まっている。あれは小説でなく、もはや自己啓発書の極致だ。
また、漫画も堂々たるいちジャンルだ。日本の漫画は最高水準で世
界的に評価されている。背筋を伸ばして正座して漫画を読んでみる
ことだ。とてつもなくレベルが高いことに驚かされるはずだ。
漫画で感銘を受けた子どもが、将来研究して夢を現実にすることが
ある。元をたどれば漫画が世界を変えたことになる。漫画に疲れて、
哲学書や自己啓発書を読むというのも立派な読書だ。
★
成功者たちの本棚は、圧倒的にハードカバーが多い。わずか1000
円程度の違い、3年早く手に入るなら、しかも、その本が自分が読
みたい旬の時期だとしたら安いものだ。
魚や野菜にも旬がある。人間の好奇心や吸収力も同じだ。旬は美味
しい。成功者たちは、本に限らず人生すべての判断において「時間」
の大切さと「旬」の大切さを熟知しているのだ。
数多くの成功者たちは意外なほどベストセラーを読んでいる。しか
もベストセラーの奥付はたいてい初版だ。ベストセラーだから、発
売直後に重版がかかっていることも珍しくない。
それでも、初版で持っているということは発売日に買っているのだ。
正確には、発売前にアマゾンで予約しているのだ。これこそが行動
力の証だ。それ以上にとてつもない好奇心の塊なのだ。
頭ごなしにベストセラーを批判するのはダメだ。できる人は売れた
理由としての“いいところ探し”に終始するものだ。欠点探しは誰
でもできるが、いいところ探しは脳のフル回転が必要だ。
★
自分の本棚を眺めてみることだ。人は、本棚に並んでいる本のよう
な人間になるものだ。なぜなら、本棚に並んでいる本は、自分が買
うと決めた決断の集大成だからだ。
また、本好きな人は、大きくて奥行もある本棚を所有していること
が多い。奥行がある理由は、手前側と奥側に本を並べることができ
るようにだ。
手前側には、自分の建前が、奥には本音が隠れている。手前側の建
前と奥側の本音から、自分の「やりたいこと」や「未来」が浮き彫
りになってくるのだ。
たとえば「自分のミッションは何か」「目指すべき道は何か」「こ
れから何を通して人の役に立っていけば幸せになれるのか」などだ。
自分探しをする人は多いが、その答えは自分の本棚にあるのだ。
「自己分析」とは「本棚分析」なのだ。自分探しをするといって、
会社や学校を辞めて旅に出る人がいるが、そんなことをする必要は
ない。自分探しの本質は、身近にいつも転がっているのだ。
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