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【Vol.367】冷泉彰彦のプリンストン通信

冷泉彰彦のプリンストン通信
「みずほのシステムトラブルに見る『終った感』」 (前略)  非常に単純化すると、同じPCの中でMACのOSと、ウィンドウズOS を動かしている中で、大事な家計簿のある部分はMACのナンバーズで管理 しており、ある部分はウィンドウズで走るエクセルで管理している、しかも 全体を見るにはGoogleのスプレッドシートで管理している、そんな感じで す。  いやこの比喩は違いますね。家計簿を管理するのに、MACマシンとウィ ンドウズマシンの2台を使っていて、全体を見る場合にはもう一つ別のLI NUXマシンかなんかを使っている、そんな感じです。  家計簿なので、一本化すればいいのですが、パートナーのそれぞれが譲ら ないのでそうなったとか、そういうストーリーです。税理士がやってきて、 この家の家計管理システムはどうなっているのかと疑問を発したら、3つの マシンは一応にLANでつながっていて相互にデータを更新するようになっ ているので、一応家計管理も税務計算もできる、つまり「統合されている」 という説明でとにかく押し返したという感じです。  ところが、あるときにMACのアプリを更新したら全体的に不具合が起き てしまって、LINUXマシンで見られるはずの収入合計がエラーになって しまったとか、ある時に仮想通貨の売買をプログラム取引でやったら行数が 膨大になって、最初のマシンのスプレッドシートには入力できたのが、転送 する際に行数エラーになって合計額が出ないとか、そんな現象が起きている、 話を何十万分の一、あるいは何億分の一のスケールにして「たとえて」みる とそうした話になります。  要するに、1つのマシン、1つのアプリに統合、つまり本当の意味での統 合をすればいいのですが、「できない」ということでズルズル来たわけです。 私の恐れているのは、2年前に完成したという「統合システムの更新」とい うのは、依然として本当の意味の統合ではなく、例えば、 「元のA行の支店からのMという取引の場合は特別に夜間処理でQデータベ ースを見に行くようにしていたのを、リアルタイムで見に行くようにして、 そこで問題があればエラーではじくようにした」  といった対策を隅々までやったとか、そういう話ではないかという可能性 です。そうなれば、確かにバグを潰してカットオーバすれば、当初は動くか もしれませんが、しょせん全体は過剰に複雑で不安定なままというわけです。  これでは駄目なのです。 「元がA銀行だろうがB銀行だろうが、Mという取引の場合は新銀行の統一 されたDBでリアルタイムに処理する。例外はなし。DBには全てがコンバ ートされて格納済み」  こうしなくてはいけません。SMBCやMUFJだって、100%できて いるとは思えませんが、少なくともかなり「まし」なことが出来ているわけ で、みずほの場合は非常に心配です。

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  • アメリカ北東部のプリンストンからの「定点観測」です。テーマは2つ、 「アメリカでの文脈」をお伝えする。 「日本を少し離れて」見つめる。 この2つを内に秘めながら、政治経済からエンタメ、スポーツ、コミュニケーション論まで多角的な情報をお届けします。 定点観測を名乗る以上、できるだけブレのないディスカッションを続けていきたいと考えます。そのためにも、私に質問のある方はメルマガに記載のアドレスにご返信ください。メルマガ内公開でお答えしてゆきます。但し、必ずしも全ての質問に答えられるわけではありませんのでご了承ください。
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