武器としての金利上昇
「金利上昇容認の裏に」
米国の長期金利が昨年秋以降上昇していることはすでに周知のことですが、米国では政府財務省もFRBも、ここまでは上昇容認の姿勢を見せています(もっとも、FRBは2月にこっそり長期国債を多めに買い入れていますが)。表向きはインフレ懸念ではなく、強い経済への期待によるものとの理解を示し、FRBが政策対応すべきものではないとしています。
この金利上将容認の裏には、何か隠れた狙いがありそうです。前に本欄で、隠れた狙いとして、日本と同様に米国でも政府とFRBが連携して、国債の増発に対してFRBが買い入れで支援することを念頭に入れているのでは、との可能性を指摘しました。それはFRBの追加緩和になるので、金利上昇が株や経済に負担になるとの「状況証拠」が必要で、それを演出するための金利上昇容認、の可能性を示しました。
しかし、それだけではなく、金利上昇を「武器」として利用し、米国がターゲットとしている国を攻撃する意図もうかがえます。実際、11日のECB(欧州中銀)理事会では、米国発の金利上昇を放置できないとして、4-6月期にパンデミック緊急買い入れプログラム(PEPP)を使っての資産買い入れを大幅に増やし、金利上昇圧力を吸収することを決めました。
しかし、米国の真の狙いは欧州ではなく、恐らくバイデン政権がこのところ益々強硬姿勢を強めている中国だと思われます。FRB内部にも米金利上昇は債務の大きな新興国に負担大との認識がありますが、その中でも中国をターゲットとして金利を武器に使おうとの意図が伺えます。そして米国中国ともに動き始めました。
この記事は約
NaN 分で読めます(
NaN 文字 / 画像
NaN
枚)