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言いすぎか!!
弁護士北村晴男 本音を語る
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Vol.113
2021.3.15
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目次
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【1】 『国家公務員倫理法
官僚は遵守しているのか』
【2】 『北村晴男の"素"』
【3】 『番組出演予定
イベント情報』
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【1】 『国家公務員倫理法
官僚は遵守しているのか』
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1998年に発覚した「大蔵省接待汚職事件」、いわゆる「ノーパンしゃぶしゃぶ事件」を受け、2000年4月に「国家公務員倫理法」が施行された。だが、それでも、いまだに「接待問題」が取り沙汰される。そこには根本的な原因、「根深い接待の構造」がある。
かつて、大手金融機関(都市銀行や証券会社)には、「MOF(モフ)担」と呼ばれる人たちがいた。MOFとは“Ministry of Finance”(大蔵省)の頭文字。「MOF担」は出世コースと言われた。巨額の交際費を使い、大蔵省の官僚に接待攻勢をかけ、さまざまな情報を聞き出し、自社に有利な行政を行わせる(不利を避ける)ことが主な仕事だった。
なぜ、銀行にMOF担が必要だったのか。大蔵省(現金融庁)というのは、極端に言えば、銀行を潰すこともできるほどの強大な権限を持つ監督官庁。
「おかしな取引がないか」「健全な経営が行われているか」などを調べる、ドラマ「半沢直樹」に出てくるような突然の「検査」は、国民の為にも絶対に必要だが、脛(すね)に傷を持つ銀行にとっては、とてつもなく大きな負担だ。検査の日程を事前に教えてもらえれば、ラッキー。少なくとも検査のときに手心を加えてもらえれば、ものすごく助かる。業務停止命令など出されたら大変だ。
銀行の命綱は、監督官庁である大蔵省に握られているのと一緒。どえらい権限を持っていて、行政指導という名のもとに銀行をいじめるのも簡単。だからこそ大蔵省のノーパンしゃぶしゃぶ事件が起こった。その構造は今もまったく変わってない。
官庁と関わりなく生きている人には、まったくわからない。官庁と関連業者は、まるで王様と奴隷の関係だ。
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ところで、接待する側からすると、接待は天下りに比べたらはるかに安い。
天下りを一人受け入れると、年間1,000万円、2,000万円という報酬を払わなければならない。さらに退職金までごっそり持っていかれる。しかもほとんどの場合、ろくに仕事なんかしない。まったく無用の長物。
そこで思い出すのは、文科省の前川喜平元事務次官。違法な天下りを一生懸命に推進した文科省の、当時のトップだ。
2017年1月20日、文科省OBの早稲田大学への天下り斡旋が発覚し、次官の任期半ばで官邸から首を切られた(前川氏は否定)。それを逆恨みしたとしか思えないのだが、「加計学園の獣医学部新設について、首相がらみでの不正疑惑がある」と言い出した。
当時、「よりによって獣医学部新設を言うか」「こんなふざけた話はないな」と私は思ったが、あたかも正義の味方のようにマスコミと野党が前川氏を持ち上げた。
50年間、獣医学部の新設を頑として認めなかったのは文科省。なぜ頑なに認めないのか。それは文科省の利益になるからに違いない。
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これは「岩盤規制」と呼ばれた。こんな不合理な岩盤規制はない。加戸守行さん(愛媛県元知事)は参院閉会中審査で、「官邸が不正を行ったのではなくて、文科省が50年間に渡って、本来の行政のあり方を歪(ゆが)めてきたんだ」と証言。「歪められた行政が正された」と、前川氏の発言に対して反論した。
ただしこの核心をついた証言を、マスコミはほとんど取り上げなかった。「こんなえげつない報道ってあるんだな」と、当時、思ったものだ。
この前川氏の反乱を、「役人を怒らすと何するかわからん」「時々、とんでもないやつがおる」と、政治家は見ている。
政治家も「このままでは絶対にダメだ」と、倫理規定違反に対する現在の生ぬるい罰則を批判するが、これに手をつけようとはしない。これは、政治家も官僚の役得に対しては、「正義の御旗を掲げて踏み込んで行ったら何をされるかわからん」と考え、馴れ合いでよしとしている。
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